仕事への頑張りという意味では、ニューヨーク時代は限界値を超える120%だったと思います。それに比べると今は余力を残した85%ぐらいかもしれません。私は「頑張り」というものは自己満足的な感情を含むものだと思っています。頑張りが必ずしも成果物や評価に結び付くとは限りません。それであれば、効率やシステム化を重視し、余力を持った85%で、理想とする100点満点もしくはそれを超える結果を出すほうが合理的です。

自分の持ち時間、スキル、体力などを認識し、最大限に活用した85~90%の頑張りで、平均点95点を長期間続ける――。私はそういう働き方を選びたいです。余力を残している分、突発的な仕事や作業にも柔軟に対応できますし、なにより精神衛生上、気持ちが安定します。

3月3日には特別展望台で新アトラクション「トップデッキツアー」が始まる

自分のペースで働ける環境を確保する

今は将来について明確なプランは持ち合わせていませんが、仕事はずっと続けていきたいです。プライベートを含む人生のネクストステージへ備える意味でも、いいパフォーマンスを続ける意味でも、自分のペースで働ける環境を確保することがとても大切だと感じています。そういう意味では、現在会社から与えられている環境に感謝しています。

自分の裁量を確保するためには、「この人に任せておけば大丈夫」「何かあったらあの人に頼ればなんとかなる」と思われるよう信頼を積み重ねること、そして、自分にしかできない専門性を持ち、組織内でポジションを確立することが大事だと思っています。

東京のシンボルとして、おもてなしのけん引役に

パリのエッフェル塔をはじめ、世界中のタワー建築の事業者が加盟する「世界タワー連盟」の国際会議に出席することがあるのですが、東京タワーが世界の人々からもとても好印象を得ていることを感じます。勝手に日本を代表する大使のような気持ちにもなり、東京タワーを管理していることに責任を感じます。

現在、来塔者の約3割が海外からのお客様で、2年後には東京オリンピック・パラリンピックも控えています。東京タワーは街のシンボルだからこそ、おもてなしのけん引役でもありたいと思っています。現場での接客対応はもちろん、現在は5言語対応の館内パンフレットや公式ホームページも多言語対応を強化していく予定です。3月にグランドオープンする「トップデッキツアー」で導入する13言語対応の音声ガイドを皮切りになります。これからも変わらず、東京タワーのブランドをしっかり守りながら、魅力をさらに国内外へ伝えていきたいと思っています。

取材後記

「スマートフォンの絵文字に東京タワーがあることがうれしい」という言葉に、思わず「当たり前ですよ」と言いそうになりました。それほど私たちにとっては一企業の建物ではなくシンボルである東京タワー。清水さんは休日になると関東近郊の温泉でリフレッシュするそうですが、「東京にいながら元気になりたいとき、自分を見つめ直したい時には、夜、東京タワーの足元から塔を見上げてみてください。鉄骨の力強さと光量にパワーをもらえます」とのこと。パワーをチャージしに行ってみたいと思いました。一人で訪れる人も案外多いそうです。

清水綾子
日本電波塔観光本部マーケティング課で広報・ライセンス管理を担当。2008年、米国の大学を卒業後、米国企業に就職。09年に帰国し日本電波塔へ入社。以来、広報・ライセンス管理業務に従事。開業60周年プロジェクトのチームリーダーを兼務。東京都生まれ。

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