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東京タワーを売り込む知財の守り神 戦う女性リーダー 日本電波塔の清水綾子さん

2018/1/24

日本電波塔 広報・ライセンス管理担当 清水綾子さん

「東京タワー」は2018年に開業60周年を迎える。運営している日本電波塔で広報・ライセンス管理を担当する清水綾子さんはタワーのブランドイメージを守り、知的財産権をコントロールする仕事を一手に担う。前任者のない仕事で結果を重ね、周年プロジェクトのリーダーにも抜擢された35歳に、米国での勤務経験から得た「働き続けるためのポリシー」を聞いた。

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■唯一無二の存在「東京タワー」の価値を守る仕事

東京タワーは2018年12月に開業60周年を迎えます。3月3日には高さ250メートルの特別展望台が「トップデッキ」と名称を変え、新アトラクション「トップデッキツアー」がスタートするなど、様々な周年プロジェクトが進行中です。私が勤める「日本電波塔株式会社」は民間企業でありながら、多くの人に愛される東京タワーという唯一無二の建造物を管理・運営しています。そこで働く私たちも「東京タワーは富士山と同じく、国民みんなのもの」という意識を持って仕事にあたっています。

そんな東京タワーのブランドイメージを守り、魅力を発信するのが広報・ライセンス管理担当という私の仕事です。中途採用で入社して以来9年間、ロイヤルティー、ライセンス、プロパティー(知的財産)に関する業務を担っています。

■10年前は無断撮影・無断使用が当たり前だった

私が入社した09年は東京タワーが50周年を迎えた頃で、「今後100周年、そしてその先を見据えてブランド管理を一元化していこう」とかじを切ったタイミングでした。当時は国が02年に掲げた「知的財産国家戦略」が徐々に浸透しつつあったものの、まだプロパティー使用への意識が低く、いつの間にか広告やテレビCMに東京タワーが大きく使われていたり、私たちの知らないところで東京タワーをモチーフにした商品が出回っていたりすることも日常茶飯事でした。

そんな中でまず始めたのは、無断での商業使用を禁止していることの周知です。クレジット(著作権)表記のルール作り、ホームページを利用した許可申請のシステム構築など、法律の専門家と共に手探りで一つずつ進めていきました。おかげで今では許可申請が必要なことも浸透し、使用の際にはご一報をいただけるようになりました。

■正しい法的知識、バランス感覚、交渉力!

根本的な思いとして、東京タワーを背景に撮影をしたり、商品にしてもらったりすることは大変うれしく、ありがたいと思っています。ただ、この数年でSNS(交流サイト)でのコミュニケーションが広がり、営利目的使用と私的利用との線引きや判断が難しいこともありますし、時にはプロパティー使用許諾料やロイヤルティーが発生することをお伝えすると、難色を示されるケースもあります。それでも粘り強く交渉していかなければなりません。

やはり東京タワーはシンボル的な存在であり、多くの人たちのたくさんの思い出とつながっている場所でもあります。皆さんの大切な思いを壊すようなことがあってはいけません。そのためにも、正しい法的知識を持ち合わせ、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応していけるバランス感覚と交渉力がこの仕事には欠かせないと思っています。それは対外的な話だけではなく、対社内にもあてはまります。

米国でのハードワークは働き方を考え直すきっかけになった

■仕事漬けの米国で疑問を感じた20歳代半ば

私は日本の大学を卒業した後、渡米して米国の大学を卒業。そのままニューヨークの企業に就職しました。日本メーカーの米国進出をサポートする会社で、やりがいのある仕事でしたが、深夜3時過ぎまで働いたり、土日もイベントのために出社しなければいけなかったり。生活の全てが仕事で埋め尽くされる日々でした。「この働き方は長くは続けられない」と感じ、転職を考えました。25歳の時です。

ずっと米国で働きたい気持ちはありましたが、ちょうど法律が変わり、就労ビザが抽選制になったのです。3~5年でビザを更新する必要があり、なおかつ抽選となると、土台があまりにも不安定で、仕事にも集中できません。実際、プロジェクトの途中で帰国を余儀なくされた知人もいました。

そこで、私は帰国を選択。「いずれ米国に戻って日本企業を相手に仕事をする際にも、日本の会社に勤めておくことはいい経験になる」と考えました。帰国して間もない頃、転職情報を見ていたら、たまたま日本電波塔の求人が目に入り、転職。あっという間に9年が過ぎました。今はオンとオフのバランスが取れた、充実した毎日を送っています。

■プロジェクトリーダーとして中間管理職を初体験中

17年からは周年プロジェクトのチームリーダーを任されています。8つあるプロジェクトチームのうち、管理職ではないリーダーは私を含む2人だけ。リーダーに指名されたときは突然のことで驚きました。認めてもらえたことがうれしかったのに加え、自己流で手探りしながら積み上げてきたライセンス管理という仕事が間違っていなかったのだと感じて、ほっとしました。

プロジェクトメンバーは部署の異なる20歳代の若手社員7人。全員が熱い思いを持っているいいチームです。「次の会議でアイデアを必ず1個以上は持ち寄ろう」と言えば、全員が20個ぐらい持ってきます。直接的には自分の担当ではない仕事に関しても普段からこんなにアイデアを持っているんだと、その情熱には正直驚きました。

私自身はというと、初めて中間管理職のような立場を味わっています。普段はマーケティング課内で仕事をすることがほとんどなので、横断的なチームで経験する、思いもよらない意見や考え方に触れながらの仕事は新鮮です。

反論することが苦手なメンバーの意見も無にしないよう、匿名投票をしてみたり、プロジェクトチームで検討したアイデアをどうやって社内に提案するかを考えたりと、あの手この手でプロジェクトを進めています。できるだけ多くのアイデアを形にしていきたいです。

■余力を持った85%の頑張りで95点を目指す

私の仕事ぶりは周囲から「サバサバしている」と言われます。定時になればサッと帰ることも理由のひとつかもしれません。その根底にはニューヨークでの激務を経てワークライフバランスを重視するようになったという経験があります。

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