ドカ盛りパスタの町の郷土料理 高崎のおっきりこみ
以前、高崎市内のそば屋に入ったときのこと。空いたテーブルを探しながら先客が食べているものをさりげなく観察しました。ざるの上にこんもりとそばが盛り上がっています。大盛りです。おなかがすいていたので「あれくらい食べられるだろう」と思い、大盛りを注文しました。
すると目の前に登場したのは富士山盛り。のけぞりました。私が大盛りと思ったのが普通盛りだったのです。
別の日、高崎ではなく前橋の豚肉専門店に同僚が案内してくれました。彼はポークソテー定食を注文したのですが、レギュラーでなんと250グラムとか。恐れをなした私は「レディース定食」という軟弱路線に逃げたものの、見事に撃退されました。
そんな経験から、私は「群馬県は先天性ドカ盛り地帯である」と定義したのでした。
高崎市はパスタの街と言われています。では高崎のパスタに共通点があるかというと、店によってまちまちです。県の観光関係の人に聞いたら「そうですね。あえて共通点をあげれば、盛りがいいことでしょうか」という答えでした。
高崎のドカ盛りパスタが織りなす「食の景観」をお楽しみください。
それと群馬県は昔から小麦の文化です。おっきりこみや焼きそば、焼きまんじゅうなど小麦を使った料理も多い。パスタもその延長線上にあります。米ができにくかったからそうなったのでしょう。いまも群馬県の米の収穫量は栃木の4分の1、茨城の5分の1程度です。
知られざるコナモン県群馬。小麦粉まみれになってください。
(食と旅のコラムニスト 野瀬泰申)
「知る食うロード~発見!食の景観~」は、全国各地の食材や料理を探索し、秘められた物語や歴史を丸ごと「景観」として発見する番組です。これまでの旅、グルメ番組とは一味違った視点で日本を巡ります。BSジャパンで、毎週土曜日夕方6時から放映中。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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