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臼井流最高の話し方

「話がかみ合わない人」を減らす 聞く態度が肝心

2017/12/6

価値観の押し付けや専門用語の多用はかみ合わない議論を招きがちだ=PIXTA

 「めっきり寒くなりましたね」という問いかけに「明日は披露宴に出席するんですよ」と答えがあったら、あなたはどう思いますか。想像していた答えは「そうですね、私は寒いのが苦手なんです」とか、「もう真冬ですものね」といったところでしょう。それなのに「明日は披露宴に参加するんですよ」という答えでは、話がかみ合わないと思うでしょう。

 「気温や気候に関する答え」が返ってくるのが普通なのに、なぜ披露宴というフレーズが出てくるのかと、理解に苦しむ人が多いのではないでしょうか。しかし、よく考えてみれば、相手は「寒い日に披露宴に出席するのは大変だ」「晴れ着の寒さ対策をどうしたらいいのか」といった思いから、「明日は披露宴に出席するんですよ」と、答えたのかもしれません。

 もし、そういう意図での受け答えであれば、想像していた「気温や気候に関する答え」とそれほどずれているわけではありません。相手はきちんと答えているのです。

■話がかみ合わないのは、むしろ当たり前のこと

 このように話がかみ合わないのは、誰しも考え方や感性、話しぶりなどのコミュニケーションの基礎が異なるからです。話が合う相手は、この基礎が似ているのであって、そうしたケースのほうが少ないかもしれません。

 そこを理解すれば「話がかみ合わないのは、私の話し方が悪いから」と深刻になったり、相手に対して「人の話を聞いていないのではないか?」と不快になったりすることも減るでしょう。こちらの常識が相手の常識ではないことも珍しくないのです。そうはいっても、話がかみ合わないのは気持ちのいいものではありません。そんなときは次の5つのポイントを押さえてみましょう。

(1)相手に苦手意識を持たないようにする

 話がかみ合わないと、つい相手から視線をそらせてしまうものです。しかし、そうした行動は相手を拒絶するのも同じです。そこは冷静になって、相手の考えそのものに意識を向けましょう。同時に、話し方の「個性」に気付く気持ちも持ちたいもの。ちゃんと向き合えば、はっきりした物言いを好む人や、オブラートに包んだ話し方をする人、あまり表情を出さずに聞く人など、様々な話し方、聞き方があるとわかります。

(2)自分の価値観を押し付けない

 私自身、「こう言えば普通は好ましい返事がもらえるはず」という自分の価値観に基づいて説得を試みて失敗したことがあります。「私だったら絶対に納得するのに」という思いで商談を進めていたら、相手から「そうやっていつも『イエス』と言わせているのでしょうが、私には通用しない。企みが見え見えですよ」と言われ、返す言葉もありませんでした。自分の価値観を押し付けて会話をするのは禁物です。言い合いになったり、心を閉ざされたりしかねません。

(3)専門用語や業界用語は使わない

 普段からできるだけ専門用語や業界用語を使わずに、誰もがわかる表現に言い換えたり、補足を入れたりしながら話すようにしましょう。自分はきちんと説明しているつもりでも、相手にとっては全く意味不明ということも実際は多いものです。でも、「知らない」「分からない」とは、なかなか言い出しにくいのです。結果、生返事しかできないということになりがち。会話がかみ合うかどうか以前に、会話自体の意味が分からなければ、適切な答えができるはずもありません。

(4)自分の発言に曖昧さがないか確認する

 話がかみ合わないという場合には、相手に問題があるのではなく、自分の発言の曖昧さが原因になっている可能性もあります。話下手な人やあがり症の人は、自分の意見をはっきり言わない、言葉を濁す傾向にありますから、相手が間違った解釈をする場合もあり得るのです。たとえば、もじもじしながら「この仕事は●●さんがやったほうがいいと思う」と述べる人がいたとしましょう。「自分がやるよりも●●さんのほうが好ましい成果を出せる」という意味で言ったとしても、「面倒だから●●さんに押し付けるのか」「自分がやりたくないから、そう言っているのだ」と受け取る人もいそうです。

 何かにつけて一言多い人も困りますが、言葉足らずは誤解を招く可能性が大きいものです。だから、「なぜそういう発言をするのか?」「その発言を相手はどう受け取るか?」と、言葉を発する前にある程度のシミュレーションをするのも、話がかみ合うようになるための策です。

(5)話がかみ合わない人がいて当然だと割り切る

 私の経験則ですが、何のテーマで話しても、どんな話題を振っても反応が悪く、かみ合わない人はいます。私もかつては「何とかして会話をつなげよう」と必死になりましたが、それはストレスを招きます。話がかみ合わないけれど、きちんと目を見て話す。相手の話はきちんと聞く。そんなふうに割り切ると、会話の糸口が見つかることも多いものです。

 話好きな人は自分から話すのをちょっと抑えて、相手が何を言おうとしているのか聞くことを優先しましょう。自分が話すことよりも、相手の話に神経を集中させると、そこから会話がつながることもあります。

 次回は「また会いたくなる人は別れ際の一言が違う」です。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は12月13日の予定です。

臼井由妃
 ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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