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ソニーのガジェット販売日本一 「復活」を下支え ソニー 渋谷陽介さん

2017/12/6

「分かりづらい製品だからこそ具体的な使い道を提案する」と語る渋谷さん

 目新しいデジタル機器を指す「ガジェット」。新規事業に注力するソニーが次々と売り出すガジェットの売り上げ日本一という販売員がソニーの直営店「ソニーストア銀座」(東京・中央)にいる。「この日はお店にいますか?」と指名予約の電話が殺到する渋谷陽介さん(39)だ。

 渋谷さんの担当は「エクスペリア スマートプロダクト」。ソニーモバイルコミュニケーションズ(東京・品川)が2016年から販売するスマートフォン(スマホ)の周辺機器シリーズは新規事業の製品群にあたり、音声でスマホを操作することができるマイク付きのイヤホンなど「一風変わった」(渋谷さん)ガジェットばかりだ。

 例えば、6月に発売した小型の超短焦点プロジェクター「エクスペリア タッチ」(価格は税別15万円前後)は壁や机に映し出すスマホの画面がタッチパネルになり、指先で触れれば、スマホ本体の画面と同様に操作できる。魅力は展示しているだけではなかなか消費者に伝わらない。

 「料理は好きですか? レシピアプリの画面を机に映すと、手がぬれたままでも検索できますよ」

 「遠くの親戚とよく電話しますか? テレビ電話の画面を壁に映して皆で会話できますよ」

 渋谷さんは「お客様の趣味や特技を聞き出し、具体的に活用するシーンを説明する」ことを実践する。具体的な活用シーンがすぐさまイメージできるのは自身が鍵盤をたたいて演奏を楽しむ楽器アプリからビジネスマン向けの書類管理アプリまで500種類以上のスマホアプリを使いこなしているからだ。

 アプリの名前を示し、わかりやすい活用方法を紹介すれば、「最初は何となく興味を持っていただけのお客様が『詳しく聞かせてほしい』と言ってくれるようになる」。

 渋谷さんは全国チェーンのホテルに10年ほど勤務した後、接客スキルが生きる仕事として、11年に東京都内の家電量販店に転職した。ちょうど地上デジタル放送への移行期に重なり、売り場ではソニーのテレビを担当した。独学で身につけた製品に関する知識を強みに売り上げを伸ばし、タブレットやパソコン「VAIO」などIT(情報技術)製品全般に担当が拡大。14年にソニーストアへ引き抜かれた。

 「最もお客様の顔が見えている。高機能製品が増えるなか、店舗での説明はインターネット通販にはない付加価値」。渋谷さんについて、ソニーストア銀座の尾沢正之店長はこう太鼓判を押す。プライベートでも腕時計型のウエアラブル端末を3台愛用するほどのガジェット好きという渋谷さん。IT知識を生かし、他店舗の販売員向けに製品説明会を主催する。

 ソニーストアの来店客には古くからのソニーファンも多く、「昔の製品でこういうのがあったよね」と話題を振られることもしばしば。「その反応で販売員としての値踏みがされる」と渋谷さんは話す。「CES」「IFA」といった国際家電見本市でのソニーのニュースは新聞やネットできめ細かくチェック。発売前の製品情報も仕入れてファンと交流する。

 「最近は『これ変だけどすごい』と言われる製品が明らかに増えた。ソニーの復活を現場から下支えしたい」と意気込んでいる。

(中藤玲)

[日経MJ2017年10月2日付]

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