ラム酒自体、「お酒の初心者がカクテルで楽しむ」「ワイルドに飲む」「オトナっぽく味わう」というまったく違った「顔」を持ち、さらに最高級ラム酒は1杯のグラスから「樽香」「スパイス」「フルーツ」「メープルシロップ」という複数の「顔」が現われる。なんと魅惑的なことか。

それにグラス一つでこんなに味が変わるなんてラム酒って、お酒の世界って本当におもしろい。と、ここで本当にラム酒の世界に魅了されてしまったのである。

さて、ラム酒にいろいろな「顔」があるのはなぜか。実は一口にラム酒といってもいろいろな種類があるからである。味も香りもまったく違うため、そのぶん飲み方も幅広いというわけだ。

ラム酒は色によって大きく3つに分類される

まず、色による分類でいうと「ホワイト」「ゴールド」「ダーク」の3種類がある。樽で貯蔵したラム酒を活性炭などでろ過した無色透明のものが「ホワイト・ラム」。クセがないので、カクテルによく使われる。

ホワイトオークなどの樽で熟成、ろ過を施していないものは「ゴールド・ラム」。カラメルなどの着色料を添加しているものもある。

同じく樽で3年以上熟成させたものが「ダーク・ラム」。樽から独特の成分が出て、色は茶褐色で強い風味がある。サカパ・センテナリオはいわずもがなのダーク・ラムだ。また、ラムレーズンに使われるのもこのタイプである。

製法によっても違いがあり、サトウキビから砂糖を精製する際にできる副産物「廃糖蜜」を使ってできるものを「インダストリアル・ラム(工業ラム)」という。対して、サトウキビから砂糖を精製せずに、その絞り汁をそのまま原料としたのは「アグリコール・ラム(農業ラム)」。

廃糖蜜は貯蔵が可能なので、インダストリアル・ラムは1年中製造が可能である。一方、アグリコール・ラムの場合、サトウキビは刈り取ってすぐに発酵が進んでしまうため、栽培地の近くに工場がなくてはならず、酒の製造も収穫時期に合わせて行なわれる。その名の通り、農業のリズムにのっとった製法だ。

ラム酒の生産量のほとんどを占めるのはインダストリアル・ラムであり、アグリコール・ラムは全体のほんの3パーセント程度と非常に貴重なものだそうな。ガブ飲みするには値段が安い必要があるから、海賊が飲んでいたのはインダストリアル製法のホワイト・ラムかゴールド・ラムだったのだろう。

サカパ・センテナリオはもちろんアグリコール製法で作られている。廃糖蜜からではなく、「バージン・シュガーケイン・ハニー」というサトウキビの一番搾りだけを用いている。蒸留を終えた酒はケツァルテナンゴという海抜2300メートル超の街で、シェリー樽に入れてゆっくりと熟成させる。この2つのポイントがその深い味わいを生み出しているとのこと。

アンティグアのラム酒専門店の地下にあったラム酒の貯蔵樽

ちなみに私は留学期間中、氷をいっぱい入れてソーダで割ったゴールド・ラムをよく飲んでいた。ストレートでなめるように飲むダーク・ラムもおいしいのだけれど、赤道近くのグアテマラは暑いからガブ飲みしたいんだもん。この飲み方もまた気候に合ってウマい。

さて、サカパ・センテナリオ、実は日本でもネット通販などで購入できる。しかも、本場グアテマラで買うのとほとんど値段が変わらない(というか、むしろ安い)。そして、XOならずとも23年でも十分にその芳醇で複雑な香りを堪能できる。日本のお酒好きな読者のみなさまにもぜひ味わっていただきたい。

その際には口が広めのグラスを使い、よくクルクルさせて空気に触れさせることをお忘れなく!

(ライター 柏木珠希)