正面にディスプレーされていたロン・サカパ・センテナリオXO

値段は23年ものが日本円に換算して約900円、XOが約1350円とほかのラム酒の2倍も3倍もする。この国の物価を考えればかなり高い(天井なしのワインの値段を考えるとだいぶ安いともいえるのだが)。ちなみに私の語学学校への支払いは1日4時間マンツーマンレッスンで1週間約7700円、ホームステイは3食付きで1週間8400円だ。

旅行中はなにかと財布のひもがゆるくなる。迷うことなく「XO」を注文すると、バーテンダーは「飲み方はどうなさいますか?」と聞くことなく、細長いスピリッツ(蒸留酒)専用グラスにラム酒を注いでくれた。「水やソーダで割るのはもちろん、氷を入れるなんて無粋なことはよもやしないですよね? お客さま」といわんばかりである。

最高級ラム酒はストレートで アルコール度数は40パーセント

長い熟成期間を経たラム酒は濃い茶褐色で、日本でよく見ていた、カクテルに使う透明のラム酒とはまったく違っていた(色によるラム酒の分別は後ほど説明する)。ストレートのラム酒を口に含むと、これまた衝撃。まるでブランデーだ。

樽香とバニラのような甘い香り、そしてフルーツっぽい感じもする。カクテルに使うでもガブ飲みでもない、ラム酒そのものの深い味わいをゆっくりと楽しむ、ラム酒にはそんな「オトナの顔」がもうひとつあったことを知ったのであった。

こうして私はラム酒の奥深い世界にすっかりハマってしまったのである……。

と、話はこんなに単純ではない。

センテナリオXOはとてもおいしかった。が、その味は「樽の中で長期熟成したらこんな感じだろうな」という想定内でもあった。この味だったらブランデーでいいじゃないか、という気がしないでもない。

その本当の奥深さを知ったのは実は家に帰ってからである。グアテマラの空港でお土産として「センテナリオXO」と「23年」を購入し、自宅に着いた。スピリッツ専用グラスがないので、普通のガラスのコップに注いで飲む。うん、相変わらず高級ブランデーのような深い味わいだ。

空港の免税店で買った戦利品 「センテナリオXO」は1本85USドル(約9500円)、「23年」は1本のみ購入で45USドル(約5000円)。あとは友人へのお土産用の小瓶

ひと口飲んで、うっかり荷ほどきをするのに集中してしまった。20分くらいたったころだろうか、再びグラスに口をつけた。

「うわっ、なんだこれ。むちゃむちゃおいしい!」

アルコール独特のツンとした刺激がとれて、まるでメープルシロップのよう。でも味は甘くない。ワインはデキャンタージュして空気に触れされることで味が変わる。ラム酒もまたしかりなのだった。

店では飲み口の狭いスピリッツ専用グラスで空気に触れる部分が少なかったため、気がつかなかった。樽香とバニラ、フルーツの香りの後にメープルシロップの香りが控えていたことを。家では口が広く空気に触れる面積が大きいグラスを使ったことで、最後の香りが開いたのだった。

シロウトが専門店にモノ申し上げるのは気がひけるのだが、サカパ・センテナリオを飲むならスピリッツ専用グラスじゃなく、グラスの中でクルクルと「スワリング」できるワイングラスとかブランデーグラスがいいんじゃないだろうか(それとも、私の飲むペースが速くて、最後の香りが開くまでに飲み切ってしまったってこと?)。