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臼井流最高の話し方

後輩を味方につける指導術 上手な褒め方・叱り方

2017/9/13

褒める場合はタイミング、言葉選びなどに工夫が欠かせない PIXTA

 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」。これは太平洋戦争中の連合艦隊司令長官、山本五十六の言葉です。人を動かす基本を言い表した名言とされています。見てもらい、理解してもらい、実践してもらい、さらにフィードバックすることの重要性を説いています。なかでも「褒めてやらねば人は動かじ」は後輩を育てる要諦です。

 どんなに丁寧に教えても、それで終わりにしたり、指示は的確にしたが、フォローがなかったりという「投げっぱなし」ではだめなのです。後輩を動かし育てていくためには、褒めることが不可欠です。教えたことがうまくこなせたら褒め、レベルが上がれば褒め、指摘した問題点の改善が見られたら褒める。望ましい方向に進む過程で何度も褒めるのです。

 誰でも褒められたらうれしいものです。「先輩は私のことを気にかけてくれている」「私を認めてくれている」と思えば、本人のやる気も高まります。

 褒める際のポイントは「具体的にわかりやすく」です。たとえば、「仕事が早くなったね」という言い方では、褒めてくれていること自体は相手に伝わるものの、「何が、どんなふうに早くなったか」は全くわかりません。「企画書をまとめるのが早くなったね。以前は企画が浮かばないと、何日も頭を抱えていたのに、今では半日もかからない。すごい進歩だね」と伝えれば、相手はもっと頑張ろうと思うでしょう。

 こういう褒め方は、相手をきちんと見ていないとできません。その姿勢は相手にも伝わり、あなたの味方を増やすことにもつながります。

■ミス再発を防ぐ方法を、本人に考えさせる

 逆に、後輩がミスをした際には、感情的にならず、きちんと指摘しましょう。ミスが生じた原因を究明し反省させるだけでなく、同じミスを繰り返さないためには、どうすればいいのかを考えさせるのです。

 職場での上下関係がはっきりしている場合、強い口調になりがちですが、そこは冷静に。先輩としてやっていけないのは、褒めるばかりで指摘や指導をしないことです。指摘・指導をする際に、不適切な表現をすることも好ましくありません。

褒めると叱るを上手に使い分けるのが指導のポイント PIXTA

 たとえば、報告書を提出するのは早いが、誤字脱字が多い後輩がいたとしましょう。指摘・指導をしなければミスは改善されません。「報告書の提出が早いのだから、仕方がない」と、一度は目をつぶっても、度重なれば堪忍袋の緒も切れるはずです。

 ここでうっぷんを晴らすかのように「あなたのそういう、いい加減なところが我慢できない」とか、「あなたの日本語力は小学生以下だね」などと言ってしまうと、相手の人格を否定してしまうので、「あなたは大嫌い」と言っているのも同じです。後輩の不信・不快感をあおるだけで、改善につながりません。

 指摘・指導をする際には、相手を傷つけない優しい言葉を選びましょう。私なら「仕事が早いのは素晴らしい。誤字脱字がなくなれば完璧なのだけれどね」と褒め言葉を挟みながら、やんわりと改善を促します。あるいは「誤字脱字があるたびに、あなたが損をするのではないかと心配になる。だからもっと注意深くしようね」と伝えるでしょう。

 どんな表現を選ぶかによって、職場での人間関係は変わってきます。言葉選びはとてもデリケート。だからこそ「褒める」にも「指摘・指導する」にも、相手にきちんと伝わる優しい言葉を選べる人でありたいですね。

■指導を任されるとき、あなたも試されている

 上手に褒め、上手に叱ることができるようになると、後輩はみるみる成長します。もしあなたに後輩を指導したりまとめたりする役が回ってきたら、大いに喜びましょう。能力がない人には、そういう役割はそもそも回ってこないのですから。

 そして、あなた自身も試されていると理解しましょう。後輩を教え育てることは指導力や行動力、人間性など、あなた自身を磨くことになり、潜在能力を引き出す機会になります。ビジネスパーソンとしての武器を増やすことにつながります。

 指導役が回ってきたら「自分はそんな器ではない」「面倒を見る余裕がない」「自分の仕事に打ち込みたい」などと尻込みしないで、自分を成長させるためにも喜んで引き受けましょう。後輩に教えるのは、自分自身にとっても成長のチャンスなのです。

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は9月20日の予定です。

臼井由妃
 ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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