豆腐内部の水分がしみ出してくる

豆腐に含まれる大豆たんぱくは塩にとける性質があるため、1日寝かせている間に、豆腐内部の組織が溶解し、口当たりがとても滑らかになります。そして、塩の浸透脱水作用で豆腐内部の水分がしっかり吸い出されることで食感が生まれ、その2つが相まって、まるでモッツァレラチーズのように変化するのです。

豆腐などの大豆加工品は、カルシウムが多い塩と相性がよく甘味が増すことが多いため、「塩豆腐」を作る際にも、カルシウムが多めのものを選びます。また、しっかり浸透させないといけませんので、そうめんの時と同様に、溶けやすい海水塩の粒が小さいものを選ぶとよいでしょう。

福岡県産「関門の塩」

「塩豆腐」を作るのに私がおすすめする1つめの塩は、福岡県産の「関門の塩」。

この地域独特の梅花石に浸透した海洋深層水を原料にして生産される海水塩で、カルシウム含有量が100グラム中1400ミリグラムと非常に多いのが特徴です。

まろやかなしょっぱさで甘味を感じる味わいで、細かくふわっとしたやわらかい粒は、しっかりと豆腐に浸透していきます。この塩を使うと、豆の甘さがより強調されます。

沖縄県宮古島産「雪塩」

2つめは、沖縄県宮古島産の「雪塩」です。

豆腐づくりには海水から塩を採取したあとのミネラルの溶液「にがり」が使用されています。食材と塩を合わせる時の基本は、同じ特徴を持つ者同士を探してあげること。それにより同化が起き、うまみを強く感じます。

「雪塩」は、瞬間的に水分を蒸発させる特殊な製法で、従来の製塩方法だと分離してしまう「にがり」も閉じ込めたまま海水を結晶化させるため、この同化作用によって、うまみの強い「塩豆腐」ができあがります。パウダー状なので、浸透が良いのも魅力の1つです。

塩豆腐のカプレーゼ

できあがった「塩豆腐」はそのまま食べてももちろんおいしいのですが、そうめん同様、ちょっと手を加えてあげると、一気に華やかさが増します。

まず試してみていただきたいのが、「塩豆腐のカプレーゼ」。スライスしたトマトと塩豆腐、バジルを交互に重ねて、オリーブオイルをまわしかけるだけ。塩豆腐にしっかり塩味がついているので、さらに塩をかける必要はありませんが、もしもう少し塩気が欲しい方は、塩豆腐に使った塩と同じ塩を追加すると、全体のまとまりがよくなります。

塩豆腐ディップ

また、「塩豆腐」はディップソースとしても活躍します。オリーブオイル、きざみにんにく、ブラックペッパーと一緒にミキサーに入れてよく混ぜると、ガーリック風味の疑似チーズのできあがり。クラッカーにディップして、お酒のおともにどうぞ。

そうめんも豆腐も塩も、いつも食べているもので、特別なものではありません。

でも、使い方や組み合わせ方を工夫すると、たちまち新しい世界が広がります。ぜひ、いろいろな塩の使い方にチャレンジしてみてくださいね。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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