ライフコラム

臼井流最高の話し方

自慢話を上手に語るテクニック 嫌み消す3点セット

2017/7/26

自慢が過ぎると、聞かされる側はうんざりする PIXTA

 「自慢なんて私はしない。だって聞いていて面白くないでしょう」「良識のある人は自慢話をしないものだ」――。こんなふうに言う人が珍しくないほど、「自慢」という言葉には抵抗があるものです。

 「自慢をするのはみっともない」「自慢話は嫌われる」。そう思い込んでいる人が多いのではないでしょうか? しかし、現実は誰しも無意識のうちに自慢話をしています。

 たとえば、「私の名前を出せばおまけしてくれから、言ってみて」と、友人になじみのお店を紹介するのは、形を変えた自慢です。「仕事が忙しくて食生活が乱れて困る」というのも、愚痴気味ではありますが、ほのかに自慢が含まれています。「明日も出張なの」「きょうもランチ抜きで仕事よ」というようなひと言にも、「私はこんなに忙しい」というアピールが潜んでいます。当人にはそんな意識は薄いかもしれませんが、「忙しい」というアピールには「私は頼りにされている人間だ」という自負があるのです。

 誰しも自分はかわいいもので、自分の存在価値を認めてほしいと思っています。それはとても自然なことであり、「自慢のタネ」を作るために、人は努力を重ね、知識や知恵を増やし、技術を磨き、結果的に能力を開花させるともいえます。ですから、自慢自体は必ずしも悪いことではありません。

 問題になるのは、相手の気持ちを考えずに、ストレートに自慢をしてしまうことです。自慢話を聞かされて、嫌な気持ちになったことのある人は多いでしょう。その多くは、傲慢なもの言いだったり、見栄を張ったりと、目の前にいる人の気持ちを考えていない話し方といえます。

■許せる自慢と許せない自慢の分かれ目とは?

 次に挙げるのは、どちらも夫の自慢をしていますが、あなたにはどちらが心地よく聞こえるでしょうか?

(A)「うちの主人、今かかわっている仕事に夢中なんです。おかげでどうにかチームリーダーになれたのだけれど、帰宅が遅くて、彼の体が心配なの」

(B)「うちの主人、チームリーダーになれたのだけど、それで満足しているなんておかしい。役員になれる器だってみんなが言っているのに……」

 どちらも夫がチームリーダーになれたことの自慢話ですが、言い方が少し違うだけで、聞き手が受ける印象はずいぶん変わってきます。

 (A)の言い方であれば、夫の自慢をしながらも彼の健康を気遣う妻の心配りが感じられます。でも、(B)になると、夫の自慢をしているものの、こんなものでは満足できないという妻の野心が浮き彫りになって、強欲さに嫌気が差す人が多いのではないでしょうか。

行き過ぎた自慢は職場の人間関係にもひびを入れかねない PIXTA

 前者はほほ笑ましい自慢、対して後者は不快な自慢といえるでしょう。不快な自慢をされたら、その人の話をもっと聞きたいとか、仲良くなりたいとは思わないものです。コミュニュケーションは、お互いが心地よいものであるのが大前提なのに、無遠慮な自慢のケースでは聞き手は一方的に不快感を押しつけられた格好になります。つまり、コミュニュケーションのルールを、乱しているのです。ほほ笑ましいと不快の分かれ目は自慢が自分本位であるかどうかです。聞き手への配慮を欠いた言葉選びや言い回しをしないよう、気を配りたいものです。

■自慢話の切り出し方、締めくくり方

 私もたまに自慢話をします。それはコミュニュケーションを楽しくするためです。会話を盛り上げ、相手から質問や共感の意思表示を受けるための「自慢」です。言葉のキャッチボールを進めるために自慢を活用しています。

 その際、気をつけているポイントが3点あります。まず1つめは「前置きをする」。相手の話が一段落したら、「ちょっと自慢してもいいかしら?」「●●さんには聞いてほしいんだ」などと、さらっと切り出します。

 「自慢をしたいけれどどうしよう。やっぱりやめる、でも……」というようなウジウジ感は禁物です。明るくさわやかに「ちょっとだけ私の自慢話に付き合ってほしい」という気持ちを示しながら話に入っていきましょう。

 しばしば耳にする「実は大変なことがあってね」「参ったなあ~」「困っているんだけれど」などの導入フレーズは、その先の展開が難しくなるので避けるほうが賢明です。うまく話を転がせるならばいいのですが、そう思い通りに運ばない場合が多いのが現実ですから、私は使いません。

 2つめのポイントは「相手をほめた後に自慢をする」です。まず相手をほめてから自慢に移ると、相手が気分を害することを防ぎやすくなります。

 ただし、相手をほめることに費やした時間と、自分の自慢話のバランスを取りましょう。「●●さんの企画力には目を見張っています」と一言ほめただけで、その後は自分の自慢話を延々とする。あるいは「実は、私の企画がS社で採用になったのです」などと、話の主役を奪うような感じで自慢を展開するのは、間違いなく相手を不快にさせます。むしろ「自慢話をしたいから、私をほめた」としか受け取ってもらえないので、バランスを欠いた自分ぼめは控えましょう。

 最後のポイントは「自慢をした後に『オチ』をつくる」です。自慢に続けて、笑い話や失敗談などで締めくくる方法です。漫才でいう「オチ」を作るイメージです。自慢し過ぎてこのままではムードが悪くなるという場合にも有効だから、使いこなしたいテクニックです。

 たとえば「カラオケの全国大会で決勝に進出したのですが、「結局は『頑張ったで賞』でした」「ヘッドハンテイングされた。でもヘアトニックのモニターだった」といった具合です。どのケースでもオチを言ったところで笑顔を見せるのが大切です。自慢のトーンがオチのユーモアに勝りすぎないよう、自慢とオチのパワーバランスにも気を配りましょう。

 次回は、「話し上手は数字を味方にする」です。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は8月2日の予定です。

臼井由妃
 ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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