「赤字でも腹減るんだな」 不採算店に学び新業態生む
元気寿司社長 法師人尚史氏(下)

1997年に複数の店舗を管理する課長級のマネジャーに昇格。会社は急ピッチの出店で業界首位に躍り出た。
会社が拡大していく雰囲気があり、新卒学生を毎年100人ほど採っていました。一方で、職人気質が薄れていくことに不安を感じていました。たとえばカツオにはネギとショウガを載せていたのが、作業効率を上げるためネギだけでいいとなり、お客さんからおいしくないと言われるように。しかし、当時はマネジャーに権限がなかったので、何も手を打てませんでした。
その後、競合激化などで業績が悪くなり、会社は都心部の開拓に乗り出しました。2002年に東京駅前に新業態「東京元気寿司SUSHI DINING」を開業し、担当責任者になりました。宣伝になるなら多少の赤字は構わないという前提でしたが、次第に黒字化の圧力が強まりました。後から価格を上げられないし、コストを減らすために商品に妥協したくありません。コーヒーや朝食の提供などいろいろ試しましたが、黒字にできませんでした。
会議で経営陣に責められ、いつも憤って反論していました。会議後に皆で食事に行く際、ある役員に「赤字でも腹減るんだな」と言われて悔しかったことを覚えています。