パスタ×つけ麺÷2=富士つけナポリタン B-1開催
静岡県富士市吉原に美味あり(1)
喫茶店の定番スパゲティ・ナポリタンをつけ麺スタイルにした「つけナポリタン」。静岡県富士市で人気のご当地グルメだ。
誕生したのは2008年。富士市内にある東海道の宿場町・吉原の商店街を活性化すべく、地元の喫茶店「アドニス」と東京の人気ラーメン店「めん徳二代目つじ田」が共同開発した。現在では「アドニス」をはじめ、市内の多くの喫茶店で提供され、東京や名古屋にも提供店がある。
つけ汁は、トマトをベースに、鶏ガラやコンソメ、ブイヨンなど各店独自のスープを活用したダブルスープが基本。麺は富士山の伏流水を使ったちょっと太めのちぢれ麺。フライパンにオリーブオイルを引き、駿河湾で水揚げされた桜えびを麺にからめる。
これをつけ麺風につけ汁に浸して食べる。具は、鶏チャーシュー、マッシュルーム、卵など各店各様。それぞれ個性的なスタイルで人気を競う。食べ比べも魅力だ。
元祖店「アドニス」は、味玉、チーズ、レモン、蒸し鶏、チンゲン菜がデフォルトのトッピング。プレートには、食べ方を記した紙片が添えられている。
その一、よくつけて食すべし
その二、チーズを絡めて食すべし
その三、レモンは半分食べたら麺にかけるべし
指南通りに食べてみる。つけ麺スタイルなので、フォークではなく箸で食べる。一見誰でも思いつきそうなレシピだが、なかなかどうして、ありそうでない味だ。麺につけ汁をたっぷり絡ませることで、フォークで食べる皿盛りのナポリタンにはない食感になる。
そして半熟の味玉。ひと口ふた口麺を味わった後に箸でつまむようにして卵を割る。するとつけ汁に濃厚な卵の黄身が流れ出す。これがまたうまいのだ。
つけ汁をたっぷりつけるためには、多少多目のつけ汁が不可欠だ。しかし、それでは食べ終えたときに汁が残ってしまう。
そんなときのために、バケットとシメご飯がオプションで用意されている。バケットで汁を拭うもよし、ご飯を投入してリゾット風に食べるもよしだ。
このしめご飯に特徴があるのは「Cafe Sofarii」のつけナポリタンだ。オプションで「リゾット用おにぎり」が用意されている。リゾット風にしてしまうのだから、握り飯である必要はないのだが、カギはおにぎりに不可欠の海苔が握っている。
おにぎりに添えられた細かく切った海苔とゆず胡椒が、シメのリゾット風の味わいをひと回りもふた回りも豊かにする。このシメこそが「Cafe Sofarii」でつけナポリタンを食べる最大の魅力だ。
東京でも本場・富士のつけナポリタンを食べられる店がある。「Cafe Sofarii」の系列店「ライオンのいるサーカス」が、恵比寿に2店舗を展開する。
ソファーを多用した店の調度は、「Cafe Sofarii」の雰囲気そのまま。つけナポリタンも同様で、もちろん、シメは海苔、ゆず胡椒付きの「ご飯セット」だ。
そんなつけナポリタンの静岡県富士市で今週末の11、12日、食を通じたまちおこしイベント「2017東海・北陸B-1グランプリin富士」が開催される。会場は、吉原商店街と中央公園だ。
同大会に出展するのは、まずホスト団体の富士つけナポリタン大志館。
そしてB-1グランプリ恒例箸の投票対象になる東海・北陸地区の15団体。富士宮やきそば学会(静岡県富士宮市)、西伊豆しおかつお研究会(静岡県西伊豆町)、袋井宿たまごふわふわほっと隊(静岡県袋井市)、浜松餃子学会(静岡県浜松市)、高浜とりめし学会(愛知県高浜市)、豊川いなり寿司で豊川市をもりあげ隊(愛知県豊川市)、瀬戸焼そばアカデミー(愛知県瀬戸市)、めいほう鶏ちゃん研究会(岐阜県郡上市)、郡上奥美濃カレーファミリー(岐阜県郡上市)、津ぎょうざ小学校(三重県津市)、Do it!松阪鶏焼き肉隊(三重県松阪市)、四日市とんてき協会(三重県四日市市)、亀山みそ焼きうどん本舗(三重県亀山市)、名張牛汁協会(三重県名張市)、越前坂井辛み蕎麦であなたの蕎麦で辛み隊(福井県坂井市)。
さらにゲスト団体として、八戸せんべい汁研究所(青森県八戸市)、十和田バラ焼きゼミナール(青森県十和田市)、熱血!!勝浦タンタンメン船団(千葉県勝浦市)、浪江焼麺太国(福島県浪江町)、甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊(山梨県甲府市)も大会に華を添える。
開催は、11、12日ともに9:30から15:30まで。21品目ものご当地グルメが集結することを考えると、つけナポリタンの食べ歩きは難しいだろうが、東京からなら日帰りで行ける近さ。この機会に、富士の魅力を満喫してみてはいかがだろうか。
(渡辺智哉)
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