ファストリ入社、改革遂行ファミリーマート社長 沢田貴司氏(10)

再就職先は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング。社会現象にもなったフリースブームの前のことだったので、その社名すら知らなかった。

伊藤忠商事を辞める決意をして早速、取りかかったのは次の職探しです。転職をあっせんしてくれる会社に登録をしました。しばらくすると「一度、(ファストリ本社のある山口県の)宇部市に行って社長の柳井正さんに会ってみてください」という話が来ました。

すでにファストリは広島証券取引所に上場を果たしていましたが、決算書を見ると売上高が約400億円、営業利益が20億円くらいの会社でした。それでも「つぶれる会社ではないな」と思ったので飛行機で宇部に向かいました。1996年末か97年年明け早々のころだと思います。

「木訥(ぼくとつ)な人だな」というのが最初の柳井さんの印象でしたが、言葉の端々から小売業への並々ならぬ情熱が伝わってきました。そして、いくつかのエクセレントカンパニーの名前を挙げて「自分は衣料の仕事を通じて、そういった会社に負けないような存在感のある会社をつくりたい」と言い切るのです。

一方で仕事や会社の説明は合理的でロジカル。「この人、すごいな。面白いんじゃないかな」。即座に入社を決意しました。

ただ、問題は住宅ローンでした。バブル期に買ったマンションのローンが相当、残っていたのです。それで思い切って「最初の1年間は伊藤忠時代の給料を下さい」と頼んでみました。すんなり了承してもらいました。