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ハウステンボスの入場者数はピーク時に比べて、半分以下の約140万人にまで落ち込んでいた。

来場者が減り続けていたため採算が悪化し、園内の一部は閉鎖されていました。こうしたエリアには立ち入りを禁止する柵が設けられ、清掃もされず、まるでお化け屋敷のようになっていました。入場者は日常生活から解放され、明るく楽しい気持ちになりたくてテーマパークを訪れます。しかし当時のハウステンボスを訪れると暗い気持ちになってしまい、さらに顧客離れが進んでしまう「負のスパイラル」に陥っていました。

「光の王国」はイルミネーションで世界最大級の規模を誇る

「光の王国」はイルミネーションで世界最大級の規模を誇る

経費削減で夜間のイルミネーションもなく、日が暮れるとちょっとした恐怖感を覚えるほどでした。「暗くて寒い」という雰囲気が、ハウステンボスの大きなマイナス点でした。時間帯を区切って入場料タダにしても、入場者は増えませんでした。

ではどうすればいいのか。マイナスをプラスに変えるのです。「暗くて寒い」という雰囲気を「明るくて暖かい」に転換するのです。2010年11月に始めたのが、イルミネーションのイベント「光の王国」です。

園内全体を約700万球の発光ダイオード(LED)照明で飾ることで、園内全体を明るくしました。イルミネーションの優しい光に包まれることで、入場者の気持ちは自然と暖かくなります。光の王国は年を重ねるごとにスケールアップし、ちょうど今、4月18日までの予定で開催しているイルミネーションでは世界最大級の1300万球が輝いています。

テーマパークにとって冬季は閑散期です。しかしハウステンボスはイルミネーションのおかげで、冬季が繁忙期に変わりました。12月は年間を通して最も入場者が多い月のひとつになりました。

閉鎖していたエリアも営業再開した。

お化け屋敷のような雰囲気だったエリアには、本物の怖さがありました。それであれば、お化け屋敷として再生しようと考え、10年7月に「スリラー・ファンタジー・ミュージアム」として営業再開しました。夜はイルミネーションで輝く、怖くて楽しいお化け屋敷です。エリア内には日本の怪談をテーマにしたアトラクションもあれば、最先端の代替現実(SR)技術で現実と嘘の区別がつかなくなるホラーアトラクションなどをそろえています。

経費削減の一環でBGMも流していませんでした。園内を歩く入場者も少ないので、静寂に包まれていました。これでは気持ちが明るくなりません。ほこりをかぶっていたスピーカーを倉庫から引っ張り出し、園内各地に配置してBGMを流すようにしました。現在は欧州から呼んだミュージシャンによるコンサートを広場で開催したり、仮面舞踏会といったダンスイベントを開いたりしています。音楽を楽しむ入場者の笑い声で園内全体が明るい雰囲気になりました。

[日経産業新聞2016年1月22日付]

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