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とんこつラーメン発祥物語 創作で誕生、失敗で定番に グルメのまち 福岡・久留米をゆく(1)

2016/6/28

福岡県久留米市。県内では福岡市、北九州市に次ぐ規模を誇る筑後の中心都市だ。ブリヂストンはじめゴム産業で栄え、青木繁、坂本繁二郎、古賀春江ら近代日本美術を代表する洋画家を輩出、近年では、作曲家・中村八大や松田聖子、チェッカーズの藤井兄弟らの出身地としても知られる。

実は久留米、「とんこつラーメン発祥の地」でもある。

今なお屋台で営業する南京千両のラーメン

1937(昭和12)年に屋台「南京千両」が、関東のラーメンと長崎ちゃんぽんの豚骨出しのスープを融合させて創業。この創作ラーメンが人気を呼び、やがて周辺都市へと広がっていく。

「とんこつラーメン発祥の店」「創業昭和十二年」が誇らしげ

広まる過程で、たまたま火加減を誤り、白濁させてしまった「失敗作」が、その後のとんこつラーメンのスタンダードになる。

南京千両のスープは見た目からもあっさりが分かる

とんこつラーメンというと濃厚・どろどろのイメージだが、久留米ではあっさり系が人気。「食堂系」と呼ばれる、店名に「食堂」が入った店にそれが多い。

沖食堂のラーメン

代表格といえるのが「沖食堂」。あっさりしたスープはうまみが強く、最後の一滴まで飲み干したくなる。丼の底に姿を現す粉々になった豚骨の残骸が、うまさの証だ。

豆ごはんのおにぎり

豆ごはんのおにぎりは、定番のサイドメニュー。シンプルな塩味が、あっさりのスープによく合う。

丸幸ラーメンセンターは濃厚スープ

もちろん、濃厚なスープもある。九州の大幹線・国道3号線沿いに店を構える「国道系」と呼ばれる店だ。

腹具合に応じてトッピングを選べる

24時間営業で、昼夜問わずハンドルを握るトラックドライバーの栄養補給の使命を担う。「丸星中華そばセンター」や県境を越えた佐賀・基山にある「丸幸ラーメンセンター」は、いずれも国道沿いに広大な駐車場を持つ。

豚骨の残骸が濃厚さを物語る

自動販売機でチケットを買えば、トッピングなどを腹具合に応じてアレンジできる。久留米ラーメンでは一般的でない替え玉も「国道系」では可能だ。

久留米随一の歓楽街・文化街では夜遅くまでラーメンが食べられる

「食堂系」「国道系」以外にも多くの人気店がしのぎを削っていて、久留米ラーメンのレベルは高い。やきとり、ギョウザ、屋台など、地元ならではのグルメをはしごしたシメに、ラーメンをすするのも、久留米の醍醐味といえるだろう。

(渡辺智哉)

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