初夏の激辛麺、強烈なしびれと爽快感 麻=山椒がカギ
激辛好きというのは求道者のように孤高に辛さを求めてしまう生き物だ。マイ・七味やマイ・デスソースを持ち歩き、料理を自分好みの辛さにカスタマイズしてしまう猛者があなたの周りにもいないだろうか。
刺激と爽快感をもたらしてくれる激辛フードを手軽に食べたいなら、激辛麺がいい。
この「辛さ」の元になるスパイスの代表が唐辛子だ。
唐辛子は中南米原産のナス科の野菜で、15世紀末にコロンブスによってヨーロッパに持ち帰られ、世界に広がった。数百以上も種類があるというが、日本で一般的なものは一味の原料になる鷹の爪だ。
世界で一番辛い唐辛子はメキシコのユカタン半島でとれるハバネロだとされてきたが、近年ブート・ジョロキアがハバネロよりさらに辛いことがわかった。
タイ料理で多用するプリッキーヌーは暑い地方で育つほどに辛くなる。最も辛いとされるイサーン料理には小型だが激辛のプリッキーヌーがたっぷり。
韓国料理は唐辛子ともち麹から作るコチュジャンと、辛みだけでなく甘みもある韓国産唐辛子を粉状にした唐辛子粉を使う。
中国料理のなかでも一番辛いとされる四川料理の辛みは2種類あるというのは有名だ。
「辣」は唐辛子の辛さのこと、「麻」は中国原産の山椒の一種・花椒がもたらすしびれる辛さのことだ。
都内のある香港料理の店でも、担々麺に青山椒をたっぷりのせた担々麺を味わうことができる。この青山椒とは日本の実山椒を粉にしたものではなく、未熟な花椒を粉にした青花椒のこと。食べると舌の先に電気が走ったような強烈なしびれ、いやしびれを通り越して痛い位の刺激を感じる。
日本の山椒が実をつけるのは6月ころだが、梅雨から夏にかけての蒸し暑い時期には青山椒の爽快な辛さがよく合う。
ラーメン店で食べられる激辛麺もいろいろある。
豆板醤で辛みをだしたもの、粉唐辛子をふりかけたもの、花椒をきかせたもの。ひとくちに辛いと言っても、その世界は奥深い。この夏、自分好みの辛さを探してみては?
(日本の旅ライター 吉野りり花)
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