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答えと解説

正解(食事におけるたんぱく質の取り方の説明として間違っているもの)は、(3)朝食は「トーストとコーヒー、卵料理」や「ごはんと味噌汁、納豆」で十分 です。

筋肉量の維持のためには、材料となるたんぱく質を食事から補うことが欠かせません。

このたんぱく質の取り方について、近年の研究から分かってきたことがあります。それは1日に何回かに分けて取ったほうがいいということ。「1日に取る合計量よりも、朝・昼・夜の3食で均等に、十分な量のたんぱく質を取ることが筋肉合成のカギを握ります」と、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は言います。

では、筋肉の合成のために私たちはどのくらいのたんぱく質を取るべきなのでしょうか。

藤田教授は、「厳密に言えば、必要なたんぱく質量は、身体活動レベルや体の大きさによって人それぞれ異なります」とした上で、「主にデスクワークで時々軽い運動を行う人の場合、1日に必要なたんぱく質の量は体重1kgあたり約0.9g。体重60kgの人なら、1日54gが目安となります」と言います。つまり、単純に計算すると1食あたり、体重1kgあたり約0.3g(体重60kgの人なら18g)がたんぱく質摂取の目安というわけです。藤田教授は、「効率よく筋肉を合成するには、1食あたり20gのたんぱく質摂取を目指したいところ」と言います。

藤田教授が、若者を対象に、3食のたんぱく質摂取配分と筋肉量との関係を調べた研究があります(下グラフ)。その結果、「3食の食事すべてでたんぱく質摂取の基準量を達成していた群では、筋肉量(除脂肪量)が有意に高くなりました」(藤田教授)

3食ともたんぱく質摂取が十分だと筋肉量が多い

266人の健康な若い男女(平均年齢21.4歳)の筋肉量と3回の食事におけるたんぱく質摂取量の関連を調べた。被験者は、3食すべてで体重1kgあたり0.24gを超えるたんぱく質を摂取していた群と、最低1食でもたんぱく質が不足していた群に分けられた。その結果、3食すべてでたんぱく質摂取量が充足していた群は、筋肉量(除脂肪量)が有意に高かった(データ:Nutrients. 2019 Mar 13;11(3):612. )

朝の体は「筋肉分解モード」 たんぱく質を重点的に

また、同じく若者を対象にした研究で、「朝食を抜いている群は、筋肉量が少ないことも確認しました」と藤田教授は言います[注1]

朝ごはんについては、卵やヨーグルトを取っていれば、たんぱく質が不足することはないだろう、と思うかもしれません。しかし、「トーストとコーヒー、卵料理」や「ごはんと味噌汁、納豆」といったシンプルな朝食で取れるたんぱく質は、10~12gほど。前述した通り、効率よく筋肉を合成するには、1食あたり20gのたんぱく質摂取を目指したいところであり、一般的な朝食の10~12gでは、約10g足りないことになります。

「朝は軽く取り、昼もパンや麺類などの糖質中心、夜だけがっつり肉を食べる、という食べ方の人が多いかもしれませんが、これは、筋肉を合成モードに持っていけない残念な食べ方といえるでしょう」(藤田教授)

では、朝にたんぱく質を摂取することが、筋肉合成にどう影響するのでしょうか。

[注1]Nutr Res. 2018 Dec;60:26-32.

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1食あたり20gのたんぱく質は「手のひら」で量る