ノートパソコンの内蔵ストレージ(記憶装置)は、SSD(ソリッドステートドライブ)を搭載するモデルがここ数年で急増している。今でもHDD(ハードディスク)内蔵モデルもあるがSSDの勢いに押されて減少傾向だ。SSDがHDDに代わるストレージとして注目されているのは、データの読み書きが速いからだ。大量のファイルのコピーも一瞬で済み、パソコンの起動が遅くなるトラブルも起こりにくい。HDDに感じていた不満をSSDにするだけで一気に解消できる。
ただ、SSDは種類ごとに速度差があるなどひと筋縄ではいかないことも事実だ。HDDのように単純ではなく、SSDを扱うための正確な知識が必要。SSD事情には精通しておきたい。
M.2 PCIe SSDが最も速い
SSDは「2.5インチSSD」「M.2 SATA SSD」「M.2 PCIe SSD」の3タイプに分類される(図1)。「M.2」は「エムドットツー」と読む。「SATA」は「サタ」と読み、「Serial ATA(シリアルエーティーエー)」とも記載される。「PCIe」は「ピーシーアイイー」と読み「PCI Express(ピーシーアイエクスプレス)」とも記載される。

これらはHDDと同様に内蔵ストレージとして使われている。2.5インチは基板のほとんどの部分がケースに覆われているが、M.2は周囲を覆うケースがなく基板がむき出しの状態だ。
3種類のSSDで特に注目したいのが「PCIe」タイプだ。これはデータの転送速度がほかの2つのSSDと比べて圧倒的に速いのが特徴だ。以前は主に自作パソコン向けに個別販売されていたが、最近はノートパソコンでも搭載されるのが当たり前になった。
HDDと各SSDの速度の違いを具体的に示したのが図2のグラフだ。現役の各ストレージでトップクラスの製品の読み書き速度を比較した。2.5インチHDDの読み出し速度は最大150メガバイト(メガは100万、MB)/秒程度なのに対し、PCIeタイプのSSDは約45倍の7000MB/秒と桁違いだ。2.5インチタイプとM.2 SATAタイプのSSDは、いずれも最大560MB/秒程度で、これらもPCIeタイプとの差は大きい。PCIeタイプは異次元の速さだ。

この速度はパソコンの読み書きに直結する。最もわかりやすいのがOSの起動時間だ。ここでは、同一のパソコンでPCIeタイプのSSDとHDDをそれぞれシステムドライブにした際の起動時間を計測した(図3)。その結果、HDDからPCIe SSDに変更しただけで起動時間が約5分の1まで短縮。また、PCIeタイプにすることでEdge(エッジ)やエクセルの起動時間を大幅に短縮できた。
