「平たく言えば、『カルチャー』って、精神性や概念ですね。例えば、作品もその概念から生まれるアウトプットの1つであり、大事なのは『何ができたか』よりも『どういう意志で生まれたか』だと思うんです。自分が青春時代にラップミュージックやヒップホップに傾倒したのも、最初こそアウトプットとしての『作品』がカッコいいという部分でしたが、そこからさらにのめり込んでいったのは、その精神性や概念ゆえ。ヒップホップという概念そのものに傾倒したわけです。
具体的に言えば、我々が目指すべきは、既存の芸能のスキームにのっとってビジネスとして成功したり影響力を持つことではなく……もちろん最終的にそこも持てればベストですが、『ボーイズグループって普通こうだよね』『芸能事務所って普通こうだよね』『アイドル/アーティストって普通こうだよね』など、日本の芸能にまつわるあらゆる“普通”をぶち壊す必要があるのかなと思っていますし、自分がそういうのを見てみたい気持ちもある。どっちかというと僕は後者なんですけどね。“新しい普通”をつくることが『カルチャー』の説明としてふさわしいのかなと思っています。
所属アーティストが合同で行う『BMSGフェス』のような形態でのライブは、今後の夢として持ってますけど、ただみんなが持ち曲を持ち寄るという形でやればいいものではなく、ここでもやっぱりBMSGが大事にしたいのはストーリーです。
例えば『THE FIRST』の課題曲は、タイトルの頭文字で伏線を張っていましたが、『Be Free』や『Move On』、そこから最終審査の課題曲でBE:FIRSTのプレデビュー曲となった『Shining One』を経てからのデビュー曲『Gifted.』で最終的なメッセージを集約するとか、そういうストーリーは絶対にBMSGをクリエートするうえで大事にしたいことなんです。『BMSGフェス』をやるとしても、なぜその日その場で行われたかといった腑(ふ)に落ちるストーリーなり文脈なりが成立すれば、すぐできると思いますよ。明日やります!」(編集部注:冗談です)
(次回に続く)

【過去の記事一覧と「BE:FIRST」についてはこちら】
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2021年12月号の記事を再構成]