さまざまな角度から音楽ヒットを分析しているエンタランキング。今回はライブ映像などを収録した音楽映像ソフトの2021年年間ランキングを、音楽マーケッターの臼井孝氏が取り上げる。
◇ ◇ ◇
ストリーミングが音楽の聴き方として主流となった現在、CDシングルはジャケットや収録内容の違いや、コロナ禍で握手会の代わりに行われるようになったリモートでのお話し会への参加などの購入特典で、1人で複数枚購入するケースも多いアイテムとなった。では、そういった影響が少ない高額な映像ソフトでは何が人気なのだろうか。21年のサウンドスキャンデータから調べてみた(なお、ここでの映像ソフトはBlu-rayとDVDの合算とする)。

1位と2位を独占したのは嵐。3位以下を大きく引き離す結果となった。1位は、デビュー記念日の20年11月3日に配信ライブとして開催されたパッケージ版で、2位は、活動休止前のラストライブを収録。後者は21年12月29日発売なので、実質1週間で70万枚近く売り上げたことになる。嵐は、デビュー10年目となった09年頃から映像ソフトの売り上げが50万枚を超えるようになったが、それからずっと年間トップクラスを維持しており、あらためてスーパーグループだということが分かる。
3位から5位は、Snow Man、King&Prince、SixTONESと18年以降CDデビューのジャニーズの中でも比較的若手のグループが並んだ。その中でも、Snow Manが頭抜けている。Snow Manは、ダンス動画が常に話題となっており、その躍動感がより顕著に分かる映像ソフトだからこそかもしれない。
トップ20にランクインしている作品数が最も多いのはBTSだった。21年に発売となった3作が6位、7位、9位にランクイン。18位に19年に発売された『BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' ~JAPAN EDITION~』がランクイン(21年度6.4万枚、累計22.6万枚)、さらに22位に20年発売の『BTS WORLD TOUR ’LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF' - JAPAN EDITION』(21年度5.6万枚、累計18.3万枚)が入るなど旧作もロングヒットしている。旧作も人気なのは、「Dynamite」「Butter」の2大ヒットによって後追いファンが次々と生まれているということもあるのだろう。