
手つかずの自然が残る南米アマゾンの熱帯雨林。だが、そこにも気候変動の影響は及んでいる。最新の研究によると、環境の変化に敏感な鳥たちが、温暖化に反応して進化を始めているというのだ。
2020年の研究でも、開発の手が入っていないアマゾン地域で一部の鳥が減っており、気候変動の影響かもしれないとする報告があった。2021年11月12日付で学術誌「Science Advances」に発表された今回の研究では、40年間にわたる鳥たちのデータを調査、アマゾンの乾期がより暑く、より乾燥するのと並行して、鳥たちが体格を変えているらしいことが判明した。

鳥たちは、生態系の健全性を知るための「見張り役」と考えられており、科学者たちは気候変動に対する鳥類の反応に強い関心を寄せている。全体的に、伝えられるニュースは芳しくないものばかりだ。例えば、全米オーデュボン協会が2019年に発表したリポートによると、温暖化傾向がこのまま続けば、2100年までに北米の鳥類の3分の2以上が絶滅の危機にひんするという。
今回の研究では、アマゾンに生息する77種の留鳥(渡りをしない鳥)を対象に、1979年から2019年までの40年間にわたるデータを調べた。論文によると、1980年以降、すべての種で平均体重の減少が見られた。なかでも36種は統計的にほぼ確実に体重が減少しており、最も体重が減った種では10年で1.8%減っていた。また、調査した鳥のうち3分の1の種では翼が長くなっていた。
この間、対象地域の平均気温は上昇し、降水量は減少した。1966年以降、気温は雨期に1度、乾期には1.65度の上昇を見せ、降水量は雨期に13%増加したものの、乾期には15%減少。全体的に高温で乾燥した気候となった。
こうした変化は、鳥の形態の変化とオーバーラップしている。気温上昇に加えて乾燥が進んだことも、鳥の変化に大きく関係しているかもしれないと研究者らは述べる。
「この論文は、40年分ものデータに基づく貴重で素晴らしいものです。熱帯地域でのこうした研究は聞いたことがありません」。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(協会が支援する研究者)、写真家、そして米ユタ大学生物科学部の鳥類学者であるチャーン・シェケルジオール氏はメールでそう述べる。なお、同氏は本研究には関与していない。