それでもTikTokに注目するのは、若い年代の頃に好きになったブランドは、ずっと好きでい続けるという傾向があるからだ。

「ブランドとの深いつながりが生まれるのが思春期です。例えば部活動で最初に履いたスパイクのブランドを、多くの人が成人後も履き続けます。思春期に育まれた関係に後から割って入るのは非常に困難だと言えるでしょう。忘れられない楽しい記憶を広告体験で作るべく、今後も試行錯誤してTikTokを活用していきたいと考えています」

注目は「共振力」を持つ人

現在、SNSに関する影響力で細田氏が注目しているものがある。それは「発信力」ならぬ「共振力」だ。

「共振力を持つ人とは、自分ではSNSで発信しないけれど、例えばテレビに出るだけでネットが盛り上がる人のことを示します。以前、ある案件で俳優の松下洸平さんを起用したことがありましたが、我々が想定していた以上の大きな反響がネットで起こり、しっかりと売り上げにもつながりました。SNSのフォロワーランキング上位に名を連ねるような“強い発信力”を持つ方も重要ですが、存在するだけで世間に響いていくというのも、SNS時代に合ったパワーだと考えています。そういった共振力を持つ人材を探すのが、今後の課題といえるかもしれません」

細田高広 TBWA/HAKUHODOエグゼクティブクリエイティブディレクター
 2005年に博報堂に入社。ロサンゼルスの広告会社TBWA/CHIAT/DAYを経て、2012年からTBWA HAKUHODOに所属。著書に『未来は言葉でつくられる』(ダイヤモンド社)、『解決は1行。』(三才ブックス)などがある。
調査方法
 YouTube、Instagram、Twitterに関して、日経エンタテインメント!編集部と日経クロストレンド編集部が200万人以上フォロワーがいるアカウントをピックアップ。そのリストを元に、ユーザーローカルがアカウントのフォロワー数とリアクションを調査。フォロワー数は2021年9月30日時点、反響数は9月1日から30日までの1カ月間を対象とした。そのため9月中に投稿のなかったチャンネルの平均再生回数は調査対象外となっている。アカウントは日本国内を対象としたもの。

(ライター 中山洋平)

[日経エンタテインメント! 2021年12月号の記事を再構成]