タレントにとっても欠かせないものになってきているSNS。特に非接触が求められるコロナ禍では、多くのタレントがSNSでアクションを起こし、ファンとの交流を図った。今年も指原莉乃や嵐の二宮和也を中心としたメンバーがYouTubeに進出し話題を集めたが、SNSの口コミ分析を手がけるユーザーローカル代表取締役の伊藤将雄氏は「芸能人にとっても、自身のYouTubeチャンネルを持つということは財産になるというのが明らかになってきた」と語る。

SNSでの発信力が高いタレントは誰なのか――。日経エンタテインメント!編集部と日経クロストレンド編集部がYouTubeやInstagram、Twitterの分野で、フォロワー数だけでなく、それぞれが持つ影響力も調査した(調査は2021年9月)。
そうしたタレントの動画はこれまでYouTubeを見なかった人々までをも魅了している。ワールドワイドな規模で人気を獲得するケースもあり、視聴者層はますますの広がりを見せているが、YouTubeチャンネルの統計情報などを扱う『yutura(ユーチュラ)』の管理者で、オモシロ代表取締役の堂馬佑太氏は、『中田敦彦のYouTube大学』を例に出し「以前のYouTubeでは教養系の動画は視聴者に受けませんでした。しかし、YouTubeが一般化して利用者も幅広くなっているので、年齢・性別を問わない誰もが楽しめるものがヒットするようになってきています」と分析する。
フォロワー数は実績の評価
CMを企画する側は、SNSで活躍するタレントのパワーをどう見ているのか? 多くのナショナルクライアントを相手に広告戦略を提案するTBWA/HAKUHODOエグゼクティブクリエイティブディレクターの細田高広氏は「広告に起用する上で大事なのは、まずその人に対しどれだけのファンがいるのかということ。フォロワーの数はその人の過去も含めた実績の評価だと考えています」と語る。「例えばマス向けの飲料を広告する場合、ある程度のリーチが期待できなければ話は始まりません。“この人とコラボをすれば、飲料ブランドの想定するターゲット層が、少なくても100万人は見てくれるな”と具体的にイメージできることがまずは大切です」(細田氏、以下同)
次に見る大事なポイントはエンゲージメントだという。エンゲージメントとは、投稿に対してどれだけ「いいね」「シェア」「コメント」などのリアクションがあったかを計るものだ。「なかでもコメントは注意深く読んでいます。例えば渡辺直美さんは数百万単位のフォロワーを抱えていますが、そのうちの何%が深い会話をしているのか、どのような話題が人気なのか、量だけでなく質の面からも分析を加えます。これは以前、マスメディアに広告を出稿するときに“部数はどれだけあって、コア読者はどんな層なのか”を議論していたときと近い感覚だと捉えています。今はSNSを使って発信する人そのものがメディアになっていると感じています」