ロカボで肥満・血糖値対策 「昼間の眠気」撃退効果も「食後高血糖」を抑えてアンチエイジング(上)

食事の中身を見直せば、昼食後は眠くならないかもしれない(写真はイメージ=123RF)
日経Gooday(グッデイ)

どんぶりごはんや麺類を食べることが多い、気がつくと甘いものを口にしている――そんな習慣は食後高血糖を招き、全身のメタボ化、老化を促進していく要因に。食後高血糖を防ぐ食事法である緩やかな糖質制限食=ロカボは、ダイエットやメタボ改善だけでなく、「睡眠の改善」、具体的には睡眠時無呼吸症候群を改善に導く可能性もあることが分かった。研究を行った北里大学北里研究所病院副院長・糖尿病センター長の山田悟さんに聞いた。

規則正しい生活や運動が難しいシフトワーカーを対象に研究

新型コロナ感染症の重症化リスクが高い基礎疾患として「糖尿病」が話題に上り、血糖値を適切に維持することは大切だということを再認識した人も多いだろう。

近年では、がんや認知症とも関わりが深いことが明らかになっている糖尿病。糖尿病専門医として糖尿病治療に携わりながら「緩やかな糖質制限=ロカボ」を提唱し、糖尿病を発症前から食い止めようと研究を行っているのが山田悟さんだ。

炭水化物を意味する「カーボハイドレート(carbohydrate)」に、低い=「low」を組み合わせて作られた言葉「ロカボ」。糖質を一切抜くような極端な糖質制限とは異なり、1食あたりの糖質量を20~40g(間食では10g)とする食べ方のことをいう。このように糖質の摂取量を「緩く」抑えるというのがロカボのポイントだ。

「一般的な日本人の食生活では1日あたり300gの糖質をとっています。ロカボ基準ではその半分以下の70~130gが1日の適正糖質量、としています」(山田さん)

山田さんは、日本人の成人の半数以上が糖尿病予備軍である「食後高血糖」の状態になっていると推測する。食後の血糖値が140mg/dL以上、と極端に高くなるのが食後高血糖だ。「糖質摂取の多い人は、食後血糖が異常な数値にまで跳ね上がり、その後に下がる、というふうに乱高下します。この乱高下が血管を傷め、動脈硬化を促進していくのです」(山田さん)。

ロカボでは、食事ごとの糖質量を40g以内に収めることで、この食後高血糖が起こらない状態を作っていく。気を付けるのは糖質だけで、おかずなどはおなかいっぱい食べていいため、「我慢の食事」にならず続けやすい、というのも大きなメリットだ(詳しくは後半の囲み記事を参照)。

山田さんは、メタボリックシンドロームまたは肥満のある人が日ごろの食事を「ロカボ食」に替えることによって健康度を高める3カ月プログラム「ロカボチャレンジ」を2015年に開始し、このほどその結果を論文にまとめて発表した。

対象となったのは、メタボリックシンドロームまたは肥満のタクシー会社の運転手とコンビニエンスストア従業員101人だ。

「健康になりたい、というときに、どうしても『手のこんだ食事をとらなきゃ』とか『運動しなきゃ』と思いがちです。しかし、タクシー運転手さんやコンビニの店員さんは、シフト勤務で規則的な食生活そのものが難しく、短時間にパパッと食事をとるしかなく、運動習慣を作ることも難しい。実は働き盛りの人はほとんどがこのような状況ではないでしょうか。そこで、生活環境を変えられなくてもコンビニで買える簡単な食事でロカボを実践していただき、その結果を見ることにしました」(山田さん)

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