筋トレをすれば、「速筋」が鍛えられる
老年症候群の予防に筋トレが有効な理由の1つには、「速筋」が鍛えられることがあります。筋肉の細胞(筋線維)は、白い筋肉と呼ばれる速筋と、赤い筋肉と呼ばれる遅筋に分けられます。速筋は瞬発的に大きな力を出すときに使われる筋肉で、遅筋は持続的な力が必要とされるときに使われる筋肉です。
加齢に伴う筋肉量の減少は、特に速筋に起こりやすく、速筋が減少すると、素早く体を動かすことが難しくなってきます。若いころなら、何かにつまずいたとしても、とっさに体勢を立て直したり、パッと手を出して周囲のものにつかまったりすることができますが、そういう動きができなくなってくる高齢期には、転倒しやすくなってしまいます。そうした意味でも、筋トレを行い、速筋を鍛えることが重要なのです。
ウオーキングやジョギング、水泳といった、息切れしないペースで長く体を動かす有酸素運動では、速筋に刺激を与えることはできません。もし走って速筋を鍛えようと思うのなら、短距離ダッシュのような全力疾走が必要になります。「シニア世代にはそれは現実的ではないので、効率よく速筋を鍛えられる筋トレがお勧めなのです」(大渕さん)
この記事は、「『歩く速度』が落ちたら大ピンチ! 衰えを感じた人ほど筋トレ効果は大」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/21/051000016/051000002/(田村知子=ライター)を基に作成しました。
[日経Gooday2021年10月4日付記事を再構成]