2021/11/8

赤色巨星になった太陽は、その約10億年後には白色矮星になる。地球ほどの体積に、元の太陽の半分くらいの質量が詰め込まれた高密度の天体だ。この過程も、近くの惑星に大きな影響を与える。たとえ4つの巨大惑星が生き延びたとしても、別の恒星が近くをすれ違ったときの重力の乱れにより、太陽系から永遠に放り出されてしまう可能性が高い。

灼熱地獄を生き抜く

天文学者たちは、惑星は主星の混沌とした死を生き延びることができると考えているが、実際に生き延びた惑星の例はあまり見つかっていない。今回の惑星系はMOA共同研究プロジェクトによって10年に最初に確認されたもので、主星の死骸である白色矮星と、主星の死を生き延びた惑星が、背景となる遠方の恒星の手前を横切ったときに、その重力が恒星の光を拡大してゆがませたことで発見された。ちなみにMOAは、「Microlensing Observations in Astrophysics(重力マイクロレンズを利用した天体物理学観測)」の略である。

マイクロレンズ効果を利用した観測により、これまでに約90個の惑星の存在が明らかになっており、その中には、主星から離れて銀河系内を単独でさまよう「自由浮遊惑星」も含まれている。

巨大惑星と白色矮星が背景の恒星の光を曲げる現象を詳細に調べたことで、この惑星系の天空での動き、恒星と惑星の存在、惑星の大きな公転軌道などの重要な特徴が明らかになった。2つの天体の相対質量も算出することができた。「MOA-2010-BLG-477Lb」と名付けられたこの惑星系に天文学者たちは興味をもったが、より詳細な研究が行われるまでには数年待たなければならなかった。

「マイクロレンズ現象が起きるときには前景の恒星と背景の恒星が重なり合っていなければならないため、どちらの恒星が前景にあるのか見分けるのが難しいのです」とベネット氏は説明する。「だから、2つの恒星が離れて見えるようになるのを待ったのです」

15年、ベネット氏たちは米ハワイのマウナケア山頂にある強力なケック-II 望遠鏡を使って、5年前に発見した惑星系を探そうとした。惑星系が5年間でどれだけ移動するかはわかっていたので、望遠鏡を目標に向けて暗闇に目を凝らしたが、探していた星らしきものは何もなく、別の方向に動いている別の星が見えただけだった。

彼らは16年と18年にも同じ観測を行ったが、いずれも空振りに終わった。しかし、歪んだ星の光を見て、惑星系がそこにあることは確信していた。それが見えないということは、彼らが求めていたものが、ケック望遠鏡でも発見できないほど暗い天体であることを意味する。

「太陽よりも質量がやや小さい暗い星であることはわかっていました。白色矮星は明らかにその候補でした」とベネット氏は言う。

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