ぎりぎりで延命? 燃え尽きた「太陽」まわる惑星発見

2021/11/8
ナショナルジオグラフィック日本版

白色矮星の周りを回る巨大ガス惑星が発見された。遠い未来に太陽が膨張して赤色巨星になり、ほとんどの内惑星が破壊された後の太陽系は、このような姿になっているのかもしれない(ILLUSTRATION BY ADAM MAKARENKO, W. M. KECK OBSERVATORY)

銀河系で最も幸運かもしれない惑星は、地球から約6500光年離れた、銀河系の中心に近いところに存在している。この巨大ガス惑星は、死にゆく主星の巻き添えになるのを辛うじて免れることができた。

2021年10月13日付で科学誌「ネイチャー」に発表された論文によると、この木星サイズの幸運な惑星は、小さな恒星の死骸の周りを回っている。この恒星は地球サイズの薄暗い白色矮星(わいせい)で、かつては太陽と同程度の大きさだった。恒星が老いると、高密度の白色矮星へと崩壊する前に、膨張して赤色巨星になるが、この過程で周りを公転する惑星を容易に破壊してしまう。

「この惑星は失われていても何の不思議もありませんでした」と、米カリフォルニア工科大学のジュリエット・ベッカー氏は話す。「おそらく、ぎりぎりで破壊を免れたのだと思います」。氏は今回の研究には関与していない。

もしこの惑星がもう少し主星の近くにあったら、焼き尽くされたり破砕されたりと悲惨な運命をたどっていたかもしれない。死にゆく太陽が膨れ上がって赤色巨星になったときに、いずれ地球にも同じような運命が降りかかる。

「今回報告した惑星系は、私たちが予想する太陽系の最終状態に非常によく似ています」と、論文の著者で米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターのデビッド・ベネット氏は語る。

それだけではない。この惑星系は、主星の激しい死の過程に直面した惑星がどのくらいの確率で生き残ることができるかを知るのにも役立つ。白色矮星の周りに無傷の惑星がごくふつうに存在していることが判明すれば、「私たちが考えている以上に多くの惑星が生き延びているのでしょう」と、米オハイオ州立大学の天文学者スコット・ガウディ氏は言う。

「そうなると、銀河系内の惑星の数は、これまで過小評価されていた可能性が高くなります」

輝いて燃え尽きるまで

恒星が年老いてくると、中心部の核融合炉に供給する水素が不足し、周囲の惑星にとって非常に危険な現象が起こる。それは、約50億年後の太陽系が直面するだろう次のような未来だ。

水素が足りなくなってきた太陽は徐々に膨れ上がって赤色巨星になるが、その過程で水星と金星をのみ込んで燃やしてしまう。地球は、焼き尽くされるのは免れても、ほぼ確実に太陽の重力で引き裂かれてしまうだろう。火星ぐらい遠くなれば、おそらく生き延びることができる。さらに外側の4つの巨大惑星は、小突き回されて、今よりも遠い軌道に入る可能性が高い。条件によっては、太陽系から完全に放り出されてしまったり、太陽に向かって突進させられたりするかもしれない。

「主星が進化していく過程で、惑星には本当に不思議なことがたくさん起こります」とベッカー氏は言う。「特に内側の軌道を回る惑星は、かなり激しい経験をすることになるでしょう」

次のページ
灼熱地獄を生き抜く
ナショジオメルマガ