USB PDで充電器を自由に選択

USB PDは、USB端子に大電力を流す規格。現在は対応するUSBタイプC端子だけで利用でき、パソコンやスマホの充電端子や充電器などで利用する。統一規格なので最大出力電力の条件さえ一致すれば、他社の電源アダプターも流用できる(図18)。

図18 「USB PD」はパワーデリバリーを意味し、USBタイプC端子で最大100ワットの電力を送信できる。パソコンの充電端子として利用されている。最大出力電力が足りていれば、メーカーや機器を問わず充電器を使い回せる

最大出力電力は、パソコンの電源アダプターや本体などに記載されているので、それと同等かそれ以上の最大出力電力を持つUSB PD対応の充電器を用意すればよい(図19)。

図19 サードパーティ製の小型充電器の最大出力電力が、パソコン付属の充電器の最大出力電力と同等以上であれば、その小型充電器を利用できる。付属の充電器に最大出力電力が記載されているので確認しておく

その条件を満たせば、USB PD対応のモバイルバッテリーからでもパソコンを充電できる(図20)。

図20 図19の条件を満たせば、モバイルバッテリーでもパソコンを充電できる。パソコン充電を目的とするUSB PD対応のモバイルバッテリーは、広く販売されている

なお、電力が60ワット超の場合、認証チップ付きのケーブルが必要となる(図21)。

図21 60ワット(20ボルト、3アンペア)を超える電力は、「eMarker」と呼ぶ認証チップ搭載のケーブルだけが対応できる。一部のハイエンドノートパソコンの充電がそれに該当する。60ワット以下なら、ケーブルに制限はない

USB PDは、電力供給とデータ通信の向きが一致しなくても利用できるのも利点だ。ディスプレーからパソコンを充電しつつ、パソコンから映像信号を送信するといった使い方もできる(図22)。

図22 USB PDは電力とデータの送信方向が逆の場合でも利用できる。例えば、ディスプレーからパソコンに給電して充電しつつ、パソコンからディスプレーに映像信号を送信するといった使い方が可能だ

このように、USBタイプC端子はUSB端子としての機能だけでなく、サンダーボルトやオルタネートモード、USB PDなどの機能があり、見た目だけで判断しにくい。パソコンによっては端子付近にアイコンが記載されており、それで判別できる場合もある(図23)。

図23 USBタイプC端子の機能は複数あり、見た目で判断しにくい。パソコンによっては端子付近にアイコンが表示されているので、それを見て機能を把握できる

(ライター 田代祥吾)

[日経PC21 2021年11月号掲載記事を再構成]