18年ぶり『マトリックス』 第1作の続き、改めて描く

能力に目覚めたネオ(右)がトリニティー(左)の前で飛んでくる弾丸を静止させる。1作目を彷彿させる (C)2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
日経エンタテインメント!

『マトリックス』シリーズの新作『マトリックス レザレクションズ』が18年ぶりに公開された。『マトリックス』は1999年から2003年にかけて3部作として公開されたが、新作は「第1作の続編」ということでも話題になっている。新作の詳しいストーリーは明らかにされていないが、映画をより楽しめるように、過去の流れと明らかになっている情報を整理してみた。

[以下、シリーズの関係性を示すため、過去作品のストーリーの重要な部分について触れている記述もあります。見ていない人はご注意ください]

革新的な映像、印象的なアクション

『マトリックス』は1999年に公開され大ヒットしたSF映画だ。その後、続編2作『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューションズ』が2003年に連続公開された。

1作目はハリウッドに2つの大きなインパクトを与えた。1つめは革新的な映像表現や技術。弾丸が飛んでくる超スピードの世界を表現するために、弾道をはっきり見せ、弾丸をよける人間の残像も見せた。キアヌ・リーブス扮(ふん)するネオがのけぞって弾丸をよける場面では、彼がのけぞった上を通る弾丸の軌道を波のような線で表現した。

空中でネオと敵がジャンプしてぶつかり合う一瞬を、360度の視点から追いかけた映像で表現。飛び上がった人物がストップモーションになった状態で、カメラはゆっくりと被写体の回りを回り始める。「バレットタイム」「マシンガン撮影法」と呼ばれる技法で、多数のスチールカメラで被写体を360度囲んで撮影し、撮影データをコンピュータ処理する。この技法は『マトリックス』で話題となり、その後多くの映画やテレビCMでまねされた。

2つめは香港映画のノウハウを導入したこと。『マトリックス』のアクションシーンにはカンフーが取り入れられているが、アクション指導にあたったのはジャッキー・チェンの出世作『酔拳』の監督でも知られるユエン・ウーピン。主要キャストは数カ月にわたるトレーニングを積み、吹替なしでカンフーアクションを実践した。またウーピンは香港映画が得意とするワイヤースタント(俳優をワイヤーで宙吊りにした状態でのアクション)を活用。ビルからビルへのジャンプシーンやカンフー仕立ての空中戦を撮影した。

あえて第1作の続編を作る理由は?

『マトリックス』シリーズは人工知能を持つコンピュータに人類が支配された近未来が舞台。人工知能が作り出した仮想現実の世界「マトリックス」と、現実世界の2つで物語が進行する(ちなみに映画で「マトリックス」は我々が暮らす社会と同じように描かれる。「当たり前だと思っていた毎日が実は現実ではない」という演出だ)。

1作目は物語の大半がマトリックスで繰り広げられる。プログラマーとハッカーという2つの顔を持つネオ(キアヌ・リーブス)がトリニティー(キャリー=アン・モス)やモーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)の導きで自分の能力に目覚め、エージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)ら強大な敵を倒す。ネオが人類を解放するかもしれないという今後を暗示し、物語は幕を閉じる。

続く『リローデッド』『レボリューションズ』はマトリックスと現実世界の2つで物語が繰り広げられる。ネオら3人はマトリックス内にある人類を支配するコンピュータの基幹システムを突き止め、破壊することを目論む。一方、現実世界では、コンピュータの支配から逃れた人たちが暮らす地下都市ザイオンの場所をコンピュータが突き止め、特殊ロボットをザイオンに送り込む。

次のページ
キアヌのアクションにも注目