LiSA アニメ『鬼滅の刃』主題歌、再び挑む思いを語る
LiSAインタビュー(上)
放送中のテレビアニメ「『鬼滅の刃』 無限列車編」(フジ系ほか)で、オープニングテーマ『明け星』とエンディングテーマ『白銀』を担当するLiSA。

LiSAとアニメ『鬼滅の刃』といえば、2019年放送のテレビアニメ『竈門炭治郎 立志編』、そして20年公開の劇場版『無限列車編』でも主題歌を担当し、『紅蓮華』『炎』を生み出した。LiSA自身は2年連続『NHK紅白歌合戦』出場、昨年末には『炎』で日本レコード大賞を受賞するなど結果を残してきた。
11年のソロデビュー以降、数多くのアニメ作品の楽曲を担ってきた彼女にとって、『鬼滅の刃』との出合いはどんなものだったのか。また、再度主題歌を担当することについて、今の率直な気持ちを聞いた。

「私自身、いろいろなアニメ作品と一緒に歌手人生を歩ませてもらってきて、作品に寄り添いながら、作品を作る方たちの情熱を感じながら、作品と一緒に楽曲を制作していくということをずっとやってきた10年間でした。ですから、デビューから10年という節目の付近で『鬼滅の刃』という作品に出合えたことは、とても幸せなことでした。
作品に対する制作のみなさんの情熱や、作品が持つすごく大きなパワーみたいなものを私自身もすごく素直に感じていましたし、そういう作品とともに楽曲がたくさん愛してもらったということは、自分がこれまでやってきたこともひっくるめて肯定してもらったような、認めてもらったような、世の中のみなさんに見つけてもらったような気がして。
『アニメってこんなにすごいんだぞ』っていうことも含めて『鬼滅の刃』という作品が教えてくれ、示してくれた、そんな出合いでした。いい作品に出合って、その作品に持てる力の全てを精いっぱい注ぐということを変わらずやらせてもらってきたなかで、たくさんの方に届いたということが本当にうれしいです」

作詞を手掛けなかった理由
「私にとっても『無限列車編』はすごく思い入れの強い作品だったので、またテレビシリーズでたくさんの人にお楽しみいただけること、毎週『鬼滅の刃』に会えるというワクワクが帰ってきたんだなという感覚も含めて、視聴者のみなさんと同じ気持ちですごくうれしかったですね」
オープニングテーマの『明け星』、エンディングテーマの『白銀』共に、作詞・作曲・編曲は『炎』を手がけた梶浦由記。梶浦は椎名豪とともに『鬼滅の刃』の劇伴(伴奏音楽)も担当しており、作品世界を深く理解する1人だ。

「私のなかで『炎』に込めた気持ちがすごく大きくて、『無限列車編』を『炎』ではない曲で歌うのはとても難しいなと。『紅蓮華』のときも、『竈門炭治郎 立志編』のオープニングではあるんだけれども物語全体を歌うような気持ちだったので、どこか特定のエピソードにフィーチャーして楽曲を作ったつもりはなかったんです。
作詞をさせていただいた『紅蓮華』と『炎』で私の言いたいことは全部言ったな、出し尽くしてしまったなという気持ちでした。ということもあって、今回は『梶浦さんがどんな世界観を作ってくれるのか、梶浦さんに委ねてみたい』と思いました。
梶浦さんの作る楽曲をなんと表現していいか分からないんですけど……劇伴で担当されるような世界観――物語の世界観や画を音にしてくれるような楽曲のなかで、オーケストラロックのような、シンフォニックロックのような、ある意味演歌ロック的な、梶浦さんとLiSAっていう人が一緒になったときに表現できるもの。"梶浦さんとしかできない私の表現"ができたらいいなと思っていました。
『明け星』も『白銀』もテレビアニメ『無限列車編』のために新しく書き下ろしていただいた楽曲なので、今は改めて感謝の気持ちです。単に作品に合ったものを作ったというよりも、(劇場版公開から)月日が流れてみなさんへの感謝も込めて、テレビアニメとして始まるのに新しい表現を梶浦さんに託してもらったような気がしています」
(ライター 山内凉子)
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