それは同時に「新しいカルチャーを作りたい」というBMSGの掲げる理念にも密接に関わっている。
「彼らの初のワンマンライブ(11月5日に開催された『"FIRST" One Man Show -We All Gifted.-』)は、オンライン視聴だけでチケットが8万5000枚売れました。この数字だけ見ると、ドーム公演も2デイズだってできます。でも、それを早急にやることは、単なるブームを作ってしまうこと、彼らのアーティストとしての寿命を縮めることにもつながると思っています。
彼らは『THE FIRST』というブームから、ムーブメントにようやく進んでいる段階。そのまま先に進んでBMSG全体でカルチャーにまで育て上げれば、彼ら自身の表現が毀損されることもないし、そのカルチャーを実のあるものにできれば、所属アーティストたちは永続的に、そして自由に愛される存在になれる。今はそこを作ることを、本当に頑張らないといけない時期です。
熱狂を生んだ人たちなり集団なりが、急速に力を失っていく様子もこれまで見てきています。時代の流れがいきなり変われば、一気に古いものになってしまう。それを怖いことだなと感じる自分もいるんです。でも、例えば15、16年後にそんなことが起こったとしても、その時には(BMSG所属ラッパーの)Novel Coreやedhiii boiが脂の乗った30代。彼らが(自分の感じていることを直球で表現する)コンシャスな曲を書いて、それを蹴散らしてくれるんじゃないかな。その頃になれば新しい10代後半のラッパーも出てきているかもしれないですよね。僕はその頃は50代。それで10代のラッパーと一緒に曲を出すんですよ(笑)……いや、引退しろよ俺!」(編集部注:この一言で、SKY-HIは生涯ラッパーとして生きるのだなと強く確信した)

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(ライター 横田直子)