役に近づこうともがいた主演映画

公開中の主演映画は、綿矢りささんの恋愛小説を、26歳の若手監督・首藤凜さんが映画化した『ひらいて』。山田さんは、意中の男子・西村たとえに秘密の恋人・美雪がいると知り、奇妙な三角関係を繰り広げる高校生・木村愛を演じている。

「『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』と、綿矢さんの小説を女性監督が映画化した作品には、好きなものが多くて。今回、その世界に自分が加われるということで、楽しみでした。首藤監督とは、『21世紀の女の子』(2019年)というオムニバス映画でご一緒していて。そのときは違う短編を監督されていましたが、女性がもがいたり苦しんだりする姿を、そのまままっすぐに描く方だなと。そんな首藤さんが、『この映画を撮るために監督になった』という企画だと知って、『これは大変だろうな。覚悟しなきゃ』と思いましたね(笑)。

愛については、なりふり構わず走って行く感じが面白いなと。その根本にある衝動——好きな人を自分のものにしたい、奪いたいという気持ちは分かります。でも私は、それを行動に移せない。ほかにも理解できないことが多かったので、現場で首藤さんとたくさん話をしながら演じていきました。首藤さんは『分からないままやってほしい』とはおっしゃるんですけど、『分からないままでいいよ』とは1回も言ってくれないんですよ(笑)。だから悩みながら、必死で自分を愛に近づけました」

木村愛を演じる、劇中の山田さん。(c)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

たとえと美雪は、手紙で愛を育んでいる。SNS(交流サイト)で手軽に連絡が取れる時代の「文通」について、山田さんはどう感じたのか。また、女性同士のベッドシーンに挑戦をした感想は?

「愛は手紙なんて絶対書かないタイプ。たとえと美雪は自分と違う世界にいると感じて、羨ましかったんだと思います。だからそこに入り込みたくて、美雪に近づいたんだろうな。……手紙、いいですよね。私も小学生の頃友達に書いて送っていて、最近は成人したときに、親に『今までありがとう』と書いて渡しました。『ひらいて』の現場では、美雪役の芋生悠ちゃんが、『残りのシーン、がんばってね。美雪』と手紙を残してくれていたことがあって。美雪らしくてすてきだなと思いました。

ベッドシーンは、生きる上で、ご飯を食べるのと一緒の『生』の一部。人の根本が見えるようなコミュニケーションの1つだとも思うので、『良い作品で、必要だったらやります』と前々から周りに言っていたんです。だから台本でそのシーンを見たときも、『あるな』と思ったくらいでした。いざ撮影すると、『こうして、こう動く』と、いつもよりちゃんと段取りをして撮っていって、アクションシーンみたい(笑)。ベッドシーンの経験がある芋生ちゃんに頼れるところは頼りつつ、お互いの衝動や相手を受け入れる姿が美しく見えるといいなと思いながら演じました」

「たとえ役の作間龍斗くんも、美雪役の芋生悠ちゃんも、みんなゆったりとした人たち。和やかに世間話をしたり、一人でいたいときは一人でいたり、芝居がしやすい関係でした」
「15歳の頃に、CMのオーディションで『目ヂカラがある』と言われて、『そうなんだ〜』って。その言葉が今も印象に残っていて、自分の1つの個性かなと思っています」
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