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南アのケープペンギン、15年で絶滅? 気候変動で危機

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

アフリカ大陸唯一のペンギンであるケープペンギンが絶滅の危機にひんしている。そのため、1羽でも多く救おうと、現地で熱心な保護活動が続けられている。

南アフリカの海に暮らすペンギンの数は、過去30年間で73%減少した。つがいの数は1991年には4万2500組だったが、2021年には1万4000組にまで減っている。このままいけば、あと15年で野生のケープペンギンは姿を消してしまうかもしれない。主な原因は、乱獲や気候変動の影響による、エサとなるイワシの減少だ。

7月のある朝、南アフリカ共和国ケープタウンに近いフォールス湾のフォクシービーチで、南アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)のリサーチマネージャーを務めるケイトリン・ルディニア氏が、ケープペンギンの群れを観察していた。すると、1羽の成鳥の様子がおかしいことに気付いた。地面にうつぶせになったまま全く動いていない。片方の脚は後方に伸びて、固まっているように見える。

数分後、網を持ったレンジャーがペンギンの群れをかき分けて近寄って見ると、その脚には漁網用の糸がきつく巻き付いていて、傷口が炎症を起こしていた。糸は、皮膚に食い込んでほぼ骨まで達していた。

獣医の手当てが必要と判断されたため、ペンギンは車で町の反対側にある財団のリハビリテーションセンターまで運ばれた。センターでは、救助された卵からかえった赤ちゃんや、捨てられた子ペンギン、けがをした成鳥が保護されている。「糸を切って傷口を塞ぐことができるといいのですが。もしそうでなければ脚を切断しなければならないかもしれません」と、ルディニア氏は話していた。

ケープペンギンは主に、ナミビア沖のホラムズバード島から始まって南へ向かい、大陸最南端の岬を回ってアルゴア湾に至るまでの島々に分布してきた。これまでは本土よりも島で多く繁殖してきたが、最近ではフォクシービーチやその近くにあるボルダーズビーチなど、本土にすむ群れの方が安定的な数を保っている。

この2つの群れは、サイモンズタウン・コロニーと呼ばれるより大きな群れに属し、その生息地である海岸沿いの地域は約2キロにわたって保護区に指定されている。

保護活動家の提案を受けて、南アフリカ共和国のバーバラ・クリーシー環境林業漁業相は、ケープペンギンの主なコロニーがあるダッセン島、ロベン島、ストーニーポイント、ダイヤー島、セントクロイ島、バード島の周囲約20キロの緩衝地帯で、巻き網漁を禁止することを検討している。南アフリカのペンギンの88%が、これらの島に生息している。

巻き網漁は、魚の群れを網でぐるりと取り囲み、イワシなどの小さな魚を一度に大量にすくい上げる漁法だ。地元の漁師にとってイワシは大事な収入源だが、ペンギンたちにも生き残りがかかっている。

これまでペンギンの保護は、繁殖地の監視、卵や幼鳥の保護、けがをした成鳥の救助など、現地での活動に限られていた。しかし緩衝地帯での禁漁が実現すれば、より大きな生態系の健全さを考慮した管理が初めて可能になる。

海の変化についていけない

イワシの量が壊滅的な状態に陥ったことから、2019年に南ア政府はその年の商業的なイワシ漁を一時的に禁止する措置をとった。しかし、翌年になっても状況は改善しなかった。

海洋環境の変化も、ペンギンのエサ探しを困難にしている。温暖化によって風のパターンと深海から湧き上がる湧昇流が変化し、魚がこれまでとは違う場所で繁殖するようになっている。ところが、ペンギンたちはその変化についていくことができないようなのだ。

ペンギンのエサ探しを追跡している人工衛星のデータによると、ペンギンは今までと同じ環境手がかりを追って、西海岸沿いの海でエサを探している。だが、そこではもう以前のようにたくさんの魚には出合えない。

8月に、政府の公園管理局とSANCCOBは、サイモンズタウン・コロニーから725キロ離れたアルゴア湾のなかのバード島で、餓死寸前のペンギンの子ども約100羽を発見し、保護した。

2021年の調査によると、アルゴア湾の個体数は過去2年間だけでも約3分の2になったという。これほどの激減が地域的に起これば、国際自然保護連合のレッドリストで近絶滅種(Critically Endangered)に指定されるだろうと、政府と非営利団体、大学の海洋学者によるリポートは指摘している。

島の個体数が減っている原因の一つは、営巣地の環境の劣化だ。ケープペンギンは、グアノと呼ばれる鳥の糞(ふん)が長年堆積した場所に好んで巣を作る。

ペンギンたちがすむ島のグアノは、数百年かけて約10メートルまで堆積していた。断熱性が高く、外の天気から巣を守ってくれていたが、1800年代半ばに有機肥料としての注目が集まると、島のグアノはほとんど採りつくされてしまった。

ペンギンはさらに、エサ場を通る船の増加、営巣地での人間の往来、鳥インフルエンザやその他の病気、原油流出、アザラシやサメといった天敵による脅威にもさらされている。

新たな取り組み

気候変動により、異常気象は今後さらに増えると予測される。高潮や猛暑によって、沿岸のペンギンたちは営巣地を失う恐れがある。ビーチにある浅い巣は、太陽や熱にさらされたり、波にさらわれたり、カモメに狙われることもある。

たとえば2002年秋には、激しい嵐と大潮が重なって、フォクシービーチの繁殖地は壊滅状態に追い込まれた。ケープタウン大学鳥類統計局の研究者が翌朝ビーチを訪れてみると、多くの巣が水につかり、卵は流され、低体温症や溺れて死んだ子ペンギンの死骸が散乱していた。

現在、サイモンズタウン・コロニーの繁殖を助けるため、より丈夫な人工の巣を作る実験が行われ、リハビリテーションセンターで保護されていたペンギンを保護区へ戻す取り組みも進められている。

一方、漁網の糸が脚に巻き付いて保護されたフォクシービーチのペンギンは、無事に糸を取り除かれて快方に向かっていた。SANCCOBの獣医であるデビッド・ロバーツ氏は、処置があと数日遅れていたら安楽死させなければならなかっただろうと話す。

脚を切断するとしたら、根元にかなり近い部分を切る必要があり、そうなっては野生で生存できる見込みはほとんどないためだ。

それから1週間後、ペンギンはリハビリ用のケージを出てセンターのプールまでよたよたと歩き、仲間と一緒に遊んでいる姿が見られた。春にはフォクシービーチへ戻す予定だという。

(文 LEONIE JOUBERT、写真 MELANIE WENGER、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2021年11月13日付]

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