次の目標は2500万台

A-PABは、新たな目標を打ち出している。24年のパリ五輪・パラリンピック開催時に、累計出荷台数2500万台(世帯普及率は約45%)を達成するというものだ。

目標達成には次の35カ月間で1500万台の出荷が必要で、月平均44万台となる。これまでの月平均は31万台なので、4割増が必要となり、達成は簡単ではない。

だが、A-PABは、テレビ需要の伸びを加速する「ブースター」がいくつかあると見ている。

一つ目は、「買い替え需要」。現在、テレビの買い替えサイクルは9.7年で、10年を超えたテレビは買い替えの候補になる。11年の地上デジタル放送への完全移行を前に購入したテレビは、これから本格的な買い替え時を迎える。08年から11年までの4年間で約6800万台のテレビが出荷されており、これがまさに買い替えのタイミングに入ってくる。買い替えの際には、せっかくなら4K8K衛星放送に対応したいといった声が多い。

二つ目は、累計1000万台に達したことで、4K8K衛星放送のメディアとしての価値が高まり、好循環が生まれる土壌が整ったという点だ。1000万台の普及規模になると、民放各社はCMを獲得しやすくなり、「ピュア4K」と呼ばれる4K撮影用の機材で制作され、4Kで放映される番組も増える。そうなれば高画質のメリットをより訴求しやすくなり、4Kテレビの視聴者や販売台数が増えるという好循環が生まれるきっかけになる。A-PABは「1000万台の視聴可能環境が整ったことで、放送局は好循環のスタートラインに立てた」とする。

現在、民放各局におけるピュア4Kコンテンツの比率は20~30%に達している。特番が多い年末はそれが増加し、今年は50%に達しそうだ。年間を通じて、ピュア4K比率が50%を超えるようになると、4Kの魅力がより多くの人に伝わりやすくなり、4K8K衛星放送を視聴できるテレビの販売にも弾みがつきそうだ。

流行を分析する「イノベーター理論」でいえば、新商品は普及率が16%を超えた時点で一気に定着する。4K8K衛星放送が視聴できるテレビの世帯普及率は18%で、その壁を越えた。4K8K衛星放送が視聴できるテレビは現在、14社から発売されており、品ぞろえも充実している。もちろん若者のテレビ離れなどの懸念材料もあるが、21年12月1日に放送開始から4年目を迎える4K8K衛星放送は、新たなフェーズに入ったことは間違いない。

大河原克行
ジャーナリスト。30年以上にわたって、IT・家電、エレクトロニクス業界を取材。ウェブ媒体やビジネス誌などで数多くの連載を持つほか、電機業界に関する著書も多数ある