ももクロ高城れに 今までの活動は全部つながっている
ももいろクローバーZ高城れに×川上アキラ(前編)
スタジアムクラスの大会場から、地方都市のホールまで、大小様々な会場でバラエティ豊かなライブを繰り広げるももいろクローバーZ(ももクロ)。有観客のライブが自由に開催できなかったこの2年間は、VR(バーチャルリアリティ)やXR(クロスリアリティ)などの新技術を生かした配信ライブや、メンバーそれぞれの個別活動など、今、できることは何かを考えながら活動してきました。その2年間をももクロの生みの親、川上アキラ氏が振り返った単行本『ももクロ流 2020-2021』が発売されます。それを記念して、川上氏と高城れにさんのインタビューをNIKKEI STYLEに転載します。現在発売中の『日経エンタテインメント!』2022年1月号の連載には掲載しきれなかった部分も入った「完全版」です。まずは直近に行われた有観客のライブ2つについて聞きました。
東名阪以外の都市で久しぶりのライブ
――2021年10月、11月は北海道と兵庫県で有観客ライブ「origin(オリジン)」を開催。東名阪以外でのライブは久しぶりですね。
高城 いやあ、楽しかったです。飛行機で北海道に行くのはいつ以来だろう。テレビ番組のロケはあったけれど、そこではファンの人には会えなかったので。来てくれた人たちに「ライブ久しぶりの人は?」って聞いたらいっぱい手が上がったんですよ。
川上 明治座の後、その時点で感染が少なかった北海道を選んで、その後の兵庫では近県の方も来られるようにしました。22年は東北(秋田)に行きます。ももクロは積極的に地方に行ってましたからね。レコードの発売日とかに。
高城 ありましたねえ。
川上 新潟に行った後、秋田まで上るとか。
高城 やった、やった。
川上 途中に寄ったレコード店に小柳ルミ子さんが来店されていて、ご挨拶したとか。
高城 地震があって、動かない電車に閉じ込められたりね。けっこう止まってたよね。
川上 東京に帰ったのは深夜2時くらいになっていましたからね。電車の中でプロレスラーの中西学さんにお菓子をいただいたんですよ。「僕はヒール(悪役)だから、内緒にしてくださいね」と。もう引退されたのでお話ししますが。稚内へ行ったのも高城さんだっけ?
高城 そうそう。そうやっていろいろなところへたくさん行かせてもらっているから、何年かたって「あそこにいたんです」と言ってくださる人も多くて。そういう言葉を聞くと、「全部つながっているな」って思う。
――有観客の勘は戻ってきましたか。
高城 コミュニケーションの取り方とか、あおり方は分かってきましたね。モノノフ(ももクロのファンの愛称)の皆さんは声が出せないじゃないですか。最初は「あ、こういうふうに振っちゃったけど、声、出せないんだ」ということも多かったけど、徐々に気持ちの汲み方は分かってきたような。あと、モノノフさん、振りコピがうまくなった。上から目線だって言われるかもしれないけど(笑)。きっと家でライブDVDをいっぱい見てくださったんだと思うんです。今まではペンライトさばきや、コールに力を入れる人が多かったけど、最近は振りコピ勢が多くなった気がします。
川上 声を出せないのは寂しいですよね。声を出しちゃダメですかねえ、高城さん(と確認するように)。
高城 そういうのが、ダメなんだよ。コロナが収まって1年たったというわけじゃないんだから。そこは我慢しないと。
川上 (うなづきながら)その辺は高城さん、ちゃんとされていますよね。
――わざと確認しましたね(笑)。
川上 でも、実際、originは高城さんの色が強く出たイベントになっている気がします。MCを担当することも多いし。3人より目立とうとしているのかもしれませんが。
高城 目立とうなんてしてないから。
後輩と新ユニットを結成、グループ名の由来は?
――11月17日に開催された佐々木彩夏さん主催のアイドルフェス「AYAKARNIVAL2021」では、超ときめき▼宣伝部(とき宣、▼はハートマーク)の吉川ひよりさん、杏ジュリアさんとユニット「らんち▼たいむ」(▼はハートマーク)を結成。オープニングアクトを務めました。いったいどういう経緯で?
高城 私、とき宣ちゃんたちが大好きなんですよ。10月30日のスタプラアイドルフェスティバルのメドレーに、彼女たちの『すきっ!』という曲が入っていて、リハーサルしているときに、見えないところでずっと踊っていたんです。そうしたらうちのメンバーや川上さんが「踊れるじゃん」って面白がって。「せっかくだからAYAKARNIVALのオープニングをやらない?」って話になったんですよ。「え、いいの? って(笑)」。
川上 らんち▼たいむ(▼はハートマーク)のネーミングの理由は言ったんだっけ?
高城 ステージでは言わなかった。語呂がかわいいのと、お昼ごはんってワクワクするじゃないですか。朝ご飯は食べない人もいるし、夜ごはんもダイエットしている人は控えることも多い中で、お昼ごはんは絶対食べる。お昼の楽しみみたいなところがあって、パワーをチャージして午後も頑張る。そんな1日の中心部分になりたいなって、つけたんです。小さな子も覚えやすいだろうし。
――とき宣は6人組ですが、その中から2人を選んだ理由は?
高城 全体的なバランスを考えてですね。あと私の推しはおはる(小泉遙香)ちゃんなのにどうして選ばなかったのかとも言われるんですが、それは私がおはるちゃんのピンクの衣装を着たかったから(笑)。ちなみにリーダーはひよりちゃんです。
川上 高城さん、ピンクの衣装を着て、楽しそうでしたよね。こだわりがすごいんですよ。歌う曲も、「もうこれで決まりでいいよね」というと「分かった」とは言うんですが、全然そうじゃない。後から出してくるんですよ。
高城 粘ったよね。
川上 粘りましたよね。「やっぱり変えます」とか。
――AYAKARNIVAL全体の感想は?
高城 すごかった。なによりあーちゃん(佐々木彩夏)がすごいなあって。あれだけのアイドルさんをまとめるのは大変だと思うんですよ。しかも全部のアイドルとコラボして。その準備にどれだけかかったんだろうって。メンバーだからあーちゃんのスケジュールはある程度、分かるじゃないですか。そのスケジュールの中で、あれだけのモノを作り上げる。本番に至るまでの日々を知っていたからこそ、改めてすごいなあって。
川上 立派だったよねえ。完成したモノを見ると、余計にそう思います。ちなみに高城さんと佐々木さんの控え室は一緒にしたほうがよかったんですかね。
高城 別の部屋だったんだよね。あーちゃんは「楽屋、一緒じゃないじゃん」って言ってくれたんですよ。「一緒でいいよ」って。でも、本人はそういうつもりでも、見えないところで疲れもあるだろうし、あーちゃんは優しいから気を使っちゃうので。自分では気付いていないかもしれないけど。
川上 なので、高城さんはよく分からない奥の部屋に押し込められていました(笑)。
高城 でも、あーちゃんは本当にすごかった。他のグループとのコラボは違う衣装、違う髪形だったから。あーちゃん、何人いるのってくらい、抜け目がないというか。
川上 ちょっと言葉遣いがどうかと思いますが(笑)、でも本当にすごかったです。
高城 1アイドルオタクとして見ていたのですが、どのアイドルさんもそれぞれの色が出ていた。番組に出させていただいたノイミー(ノットイコールミー)ちゃんも「かわいいなあ」って。
川上 3年目のカミングフレーバーさんはすごい大人になったなあと思ったし、EMPiREさんは自分の世界があって格好良かったなあ。HKT48さんは初めて見せていただきましたが、すごいよかったし。武藤彩未さんとあーちゃんのWinkもさすが同級生という感じでしたよね。全部よかったと思います。
高城 うん、全部よかった。
川上 3年目で形も見えてきたので、今後もぜひ続けていきたいですねえ。
◇ ◇ ◇
後編では、2020年、2021年のももいろクローバー、そして高城さん個人のお仕事で印象に残った活動について聞きます。
『ももクロ流2020-2021』
メンバー座談会も!
2020年、2021年の2年間、ももクロはどんなことを考え、どんな活動をしてきたのか。川上アキラ氏の振り返りと、メンバー座談会、そしてリアルタイムでメンバーと川上マネージャーが語り合った2年間の連載で検証します。連載の再録には、現時点から当時を振り返る「メンバーコメンタリー」も収録。「『約束のネバーランド』で盛り上がった百田さんが、今、夢中になっているマンガは?」(2020年11月号)、「玉井さんが、ソロ曲を作るならこんな曲にしたいと考えているイメージは?」(2021年7月号)、「入院中の佐々木さんが病院で買って食べていたものは?」(2021年9月号)、「プロ野球に熱中している高城さんが現在加入している配信サービスは?」(2021年8月号)などなど、知りたい情報が満載です。(1650円/日経BP)
(日経エンタテインメント!編集委員 大谷真幸)
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