答えと解説

正解は、(3)飲酒による悪影響は、お酒の種類はあまり関係なく、トータルのアルコール量が問題 です。

お酒が好きな人の多くは、運動後のビールやハイボールを楽しみにしているかもしれません。しかし、筋トレ後に飲酒すると、せっかくの筋トレの効果に悪影響があるという研究があります。

立命館大学スポーツ健康科学部教授の藤田聡さんは、「筋トレ後にアルコールを飲むと、筋肉の合成に悪影響を及ぼすという研究結果があります。ちなみに筋トレ前に飲んでも、血中のアルコール濃度は急激には下がらないので、結果はあまり変わらないですね」と解説します。

それではなぜ、筋トレ後にアルコールを飲むと筋肉の合成に悪影響を及ぼすのでしょうか。

「筋トレを行うと、筋肉を合成する生理作用が高まります。その際、筋肉の合成を高めるスイッチとなるmTOR(エムトール)という酵素が細胞内で働き、たんぱく質の合成が活性化されます。mTORを作用させるには、筋トレ以外に、たんぱく質を摂取して血中のアミノ酸の濃度が高まることが有効といわれています。ところが、筋トレ後にアルコールを飲んでしまうと、このmTORの作用が抑制され、筋肉の合成率が3割程度も減るという研究結果が出ているのです」(藤田さん)

筋トレ後のアルコール摂取と筋たんぱくの合成率

筋トレを行った後の2~8時間の筋たんぱくの合成率を表したもの。オーストラリアのRMIT大学で、8人の運動習慣のある健常者(平均年齢21.4歳)を対象にした研究。(PLoS One. 2014 Feb 12;9(2):e88384. を基に作成)

オーストラリアのRMIT大学で行われた研究では、トレーニング後に、(1)プロテインのみ摂取、(2)アルコール+プロテインを摂取、(3)アルコール+糖質を摂取という3つのパターンを比較しました。その結果、(2)のアルコール+プロテインのパターンでは、プロテインのみ摂取した場合より、筋肉の合成が24%減少し、(3)のアルコール+糖質のパターンでは37%減少することが分かりました。

「筋トレ後のアルコールの影響は、女性に比べ男性のほうが大きいと考えられます。アルコールを飲むと、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌が抑制されます。テストステロンは筋肉の合成と深い関わりがあるため、それゆえに男性のほうが筋肉の合成の落ち込みが大きいのではないかと考えられます」(藤田さん)

それでは、どれぐらいの量を飲むと悪影響が出るのでしょうか。また、お酒の種類によって影響の大きさが変わったりしないのでしょうか。

「先ほどの研究では、体重1kg当たり1.5gのアルコール摂取と、かなり多めの量を飲んでいます。体重が80kgの被験者が120gのアルコールを摂取しているということなので、ウオツカ60mLを4杯です。現在、どれくらいの量なら問題ないか、というデータはありません。ただ、筋トレから十分に時間を空ければ、ビール(350mL)1~2缶くらいであれば影響が少ないのかなと思います。夜にお酒を飲むのであれば、筋トレは朝に行うなど間隔を空けるようにしましょう」(藤田さん)

「お酒の種類はあまり関係なく、トータルのアルコールの量が問題になります。そして、血中のアルコール濃度が急に上がらないようにするのがポイントです。ワインのように食事とともにゆっくり飲めるお酒か、低アルコールのお酒を選ぶようにするのがいいと思います」(藤田さん)

この記事は、 「筋トレ後にお酒を飲むと、せっかくの効果が台無しに?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/110200078/(葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年9月21日付記事を再構成]

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