20数億年前に酸素急増の謎、1日が長くなったから?

2021/10/25
ナショナルジオグラフィック日本版

米五大湖のひとつヒューロン湖の陥没穴「ミドルアイランド・シンクホール」を探索するダイバー。ここの微生物マットは、約20億年前の地球の海のものと似ていると見られ、今回の研究に使われた(PHOTOGRAPH BY NOAA, THUNDER BAY NATIONAL MARINE SANCTUARY)

地球の大気には酸素がおよそ20%含まれている。多くの生命が生きていけるのはそのおかげだ。しかし、できたばかりの46億年前の地球の大気にはほとんど酸素が含まれておらず、24~22億年前に急激に増えたことが地質学的な記録からわかっている。

その理由は、光合成を行うシアノバクテリア(藍色細菌)が海で増えたからと考えられている。だが、光合成を行う微生物はもっと前から地球に存在しており、だとしたらなぜこの時期に大量に酸素が増え始めたのかは大きな謎だった。

このたび、その謎にまつわる驚くべき新説が発表された。ドイツ、マックス・プランク海洋微生物学研究所のジュディス・クラット氏と米ミシガン大学の共同研究者らは、地球の酸素が急増したのは1日の長さが長くなったから、すなわち、地球の自転が遅くなったからである可能性を、2021年8月2日付で学術誌「Nature Geosciences」に発表した。

大気中の酸素濃度の上昇と自転速度の変化は、それぞれ何十年にもわたって研究されてきた。だが論文によると、両者が結び付けて考えられたことはこれまでなかったという。

地球の自転が遅くなる理由

酸素濃度と自転速度の関係の前に、まず地球の自転が遅くなる理由を説明しよう。

地球の歴史において、1日の長さはこれまで大幅に伸びてきた。30億年以上前の地球では、1日はわずか6時間程度だったとも言われる。現在、1日が約24時間となっているのは、長い時間をかけて地球の自転が遅くなってきた結果だ。

その変化は潮の満ち引きと関係している。海のそばで1日過ごしたことがある人はおそらく、海岸で潮が満ち引きする様子を見たことだろう。あの一見穏やかな動きは、地球と月の間に生じる巨大なエネルギーから生まれるものだ。その結果、海に潮汐(ちょうせき)が生じて海水と海底との間に摩擦が生まれる。いわゆる「潮汐摩擦」だ。

潮汐摩擦は地球の回転エネルギーを奪うため、自転の速度が遅くなり、1日が長くなる。このプロセスは、何億年もかけて非常にゆっくりと進行するせいで、1日の長さの変化は容易には観測できず、また海底の地質記録を追跡するのも困難だった。

「5億5000万年前の地球の自転速度については、かなり確かなことがわかっています。というのも、貝にある成長線から1日の長さがわかるからです」と、米プリンストン大学の惑星科学者クリストファー・スポルディング氏は言う。「しかし問題はそれ以前の、サンゴや貝が存在しない時代です」

そんな太古の昔の地球の姿については、「モデルを使って検証を行います」と、米カリフォルニア工科大学の惑星科学者ウッドワード・フィッシャー氏は言う。「日長は規則正しく変化してきた歴史があり、その変化の方向性も把握しています。ただし、細かいことについてはあまり多くはわかっていません」

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多方面に及んでいた日照時間の影響
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