新作はダークでノワールな世界
次にバットマンが登場するのは『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』(16年)。物語は、13年に公開した新スーパーマン『マン・オブ・スティール』からの続き。バットマンがスーパーマンと戦い、その後、力を合わせて別の敵に立ち向かう。
バットマンとスーパーマンは2大アメコミ出版社の1つ、DCコミックスの人気ヒーローだ。もう1つの雄、マーベルは08年に『アイアンマン』から映画製作に乗り出し、12年にヒーローが集結する『アベンジャーズ』を大ヒットさせる。
DCもマーベルと同様、映画の世界観を同じにしてヒーローが集結するシリーズを『バットマンVSスーパーマン』から開始させた。『ワンダーウーマン』(17年)を経て、同年にバットマン、ワンダーウーマン、アクアマン、フラッシュ、サイボーグ、スーパーマンが集結した『ジャスティス・リーグ』を公開。だが、興行成績が不振だったため、世界観を同じにするシリーズとは別に、単独の物語も模索することになる。
そこから生まれたのが、19年に公開された『ジョーカー』。ジョーカーを主人公にしたこの作品はアカデミー賞で最多11部門にノミネートされ、ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスは、主演男優賞を受賞した。
3月11日に公開される『THE BATMAN-ザ・バットマン-』も、単独の物語となる。

両親を殺された過去を持つ青年ブルース・ウェインは夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せていた。バットマンになって2年目、権力者を標的にした連続殺人事件が発生。犯人のリドラーは犯行の際、なぞなぞを残して警察やバットマンを挑発する。
これまでのバットマンとは異なるダークでノワールな世界観。一足早く3月4日に公開された米国では初日3日間で興行収入1億2850万ドルをあげ、週末ランキング1位のスタートとなっている。21年夏以降に公開された作品としては『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に次ぐオープニング興収だ(『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』については記事「スパイダーマン最新作 時空超え過去作品の悪役登場」参照)。


(ライター 相良智弘)