2021/11/22

この方法によってこれまでに銀河系内で118個の惑星が発見されており、銀河系外でも惑星候補が検出されている。04年、アンドロメダ銀河を観測する研究者らは、通常とは異なる重力レンズ信号を拾ったと発表した。そして09年の追跡調査は、この信号の発生源が惑星をもつ恒星であることを示唆している。

ただし、この方法では恒星やその周囲をめぐる惑星についての詳細はほとんどわからない。対象がはるか遠くにある場合はなおさらだ。アンドロメダ銀河の信号の異常は、望遠鏡のカメラセンサーの1つのピクセル内で発生したものだった。

18年、ディ・ステファノ氏とハーバード大学の博士研究員で、現在はカリフォルニア大学サンタクルーズ校に所属するニア・イマラ氏は、銀河系外で惑星を探すための別のアプローチを提案した。それは、X線連星と呼ばれる星系内を探すというものだ。

X線連星は、ごく近傍にある二つの恒星がお互いの周囲を回り、その後一方が死んで崩壊し、ブラックホールか、中性子星と呼ばれる非常に密度の高い恒星の死骸になることによって形成される。崩壊した天体の巨大な重力が、パートナーの恒星の物質を猛烈な勢いで奪うことによって、星系はX線で光り輝く。

もし惑星がこの混沌とした環境で生き残っていれば、それが偶然、地球とX線源の間を通ることで、惑星の存在を確かめられる可能性がある。

代替の説明は見つかっていない

18年夏、ディ・ステファノ氏やイマラ氏のチームは、米航空宇宙局(NASA)のチャンドラX線観測衛星と欧州宇宙機関(ESA)のXMM-ニュートン衛星が収集したアーカイブデータを詳しく調べて、X線連星の信号の揺らぎを探すことにした。そしてじきに、M51-ULS-1からの候補信号が発見された。

次に研究者らは、M51-ULS-1の減光を、惑星ではないほかの原因から説明できるかどうかを検討した。X線連星は明るさが変動することがあるためだ。これまでのところ、そうした代替となる説明は見つかっていない。

12年の信号では、すべてのエネルギーのX線がほぼゼロになっており、これは固体で不透明の物体がX線を遮っていることを強く示唆している。もしX線を遮っている物体が塵(ちり)の雲であれば、少なくともX線の一部は通過できたはずだと考えられる。

もしその物体が恒星だったなら、それは重力レンズとして働き、これが通過する間、連星は観測されたように暗くはならず、より明るくなるだろう。

M51-ULS-1にほんとうに惑星が存在するのであれば、それは非常に過酷で、非常に若い星系の中で生き残ってきたということだ。「この星系で惑星を形成しようというのはとんでもないことです。活動があまりに激しいですから」とバーク氏は言う。

X線連星でより多くの惑星が見つかれば、星系が惑星を生み出すのがどの程度容易なことなのかを知る手がかりとなるだろう。ディ・ステファノ氏は、研究者らがこの手法を取り入れて、銀河系内のX線連星系など、より多くのX線アーカイブデータを調査してくれることを期待している。

「この手法によって研究フィールドは大きく広がるでしょう。大いに活用してもらえることを願っています」

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年10月28日付]