実は間違い多い「目薬のさし方」 目をパチパチはNG?

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)目をぱちぱちさせる
(2)目頭を押さえる
(3)ティッシュで目をふく
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(2)目頭を押さえる です。
「目薬をさすとき、患者さんたちに見られる代表的な間違いは、『目薬をさしてから目をぱちぱちさせる』『目薬をさしてすぐティッシュでふく』の2つです」。そう話すのは、二本松眼科病院副院長の平松類氏です。
目薬をさした後に目をぱちぱちするのは、なぜ間違いなのでしょうか?
「ぱちぱちとまばたきをするとき、人間は涙を分泌して目を潤します。乾いたときなどにまばたきをするのは、目を守るためには大切なことです。しかし、目薬をさしてすぐにぱちぱちすると、涙が出て薬が薄まってしまいます」(平松氏)。薬の濃度が低くなれば、効果も低くなってしまいます。
では、「目薬をさしてすぐティッシュでふく」はどうでしょうか。「ティッシュでふけば、まぶたがかぶれたり、目のまわりがヒリヒリすることを防げそうですが、実は、これもしてはいけないことです。目からこぼれた分だけティッシュでふくのは問題ありませんが、重要な違いは『ティッシュが目に触れるかどうか』です。目薬をさした後に目頭や目尻に直接ティッシュを当てれば、目にたまった薬液がティッシュに吸収されてしまい、効果が落ちてしまいます。ティッシュが目に触れてはいけません」と平松氏は話します。
正しい目薬のさし方は、「目薬をさした後に目頭を押さえる」です。
「目薬は目に入った後、目頭の方から鼻に入って、その後口へと流れていきます。そのため、目薬をさすと『苦く感じる』ということが起きます。ただ苦く感じるだけならよいのですが、目に薬液がたまらずに鼻や口に流れていってしまうことで、薬液の効果も減り、副作用が増えます。それを防ぐために、『目頭を押さえて、薬が鼻や口に流れていくのを防ぐ』ことが大事なのです」。そう平松氏は話します。
正しい目薬のさし方の流れを確認してみましょう。「手を洗って、目に目薬を1滴たらす。静かに目を閉じて目頭を押さえる。これが正解です」(平松氏)。
なお、目薬を開封した後、「なんとなくもったいない」という気持ちになって、カバンや薬箱に長期間保存してしまいがちですが、それも避けましょう。「点眼薬の瓶には消費期限が書いてありますが、あれは『瓶を開けない状態で保存が可能な期間』です。目薬は一般的に防腐剤が含まれていても1カ月程度しか効果を持続できません」と平松氏は注意を促します。
また、2種類以上の目薬をさすときに、間隔をあけずに連続でさすことも好ましくありません。「眼科の教科書的には、5分間隔をあけるのがよいとされています。けれども、実際には5分あけるのはなかなか難しいですよね。そういう場合にお勧めしているのは、食事の前と後というように、何かの行動の前後に点眼すると決めることです。どうしても急いでいて一気に済ませたいという場合は、せめて1分でもいいので、間をあけてください」(平松氏)。
[日経Gooday2021年10月18日付記事を再構成]
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