欧米政権で女性要職相次ぐ 多様性の波、乗れぬ日本
ダイバーシティ欧米を中心に世界で政治への女性進出が一段と進んでいる。バイデン米大統領は政権の「顔」である大統領報道官に女性を2人連続で指名した。フランスでは30年ぶりに女性首相が誕生し、各国で要職への女性登用が相次いでいる。一方、日本では岸田文雄政権で女性閣僚が2人にとどまるなど遅れが浮き彫りとなっている。
米国、大統領報道官に黒人女性 フランスは30年ぶり女性首相
「私と政権のために強い声で発信してくれるだろう」。5月、バイデン大統領はサキ前報道官の後任として当時の副報道官だったジャンピエール氏の就任を発表した。声明では同氏を「この難しい仕事に必要な経験、才能、誠実さを備えている」と評し、大きな期待感を示した。
バイデン大統領は21年の政権発足時に、広報チームの中枢幹部を全て女性で固めたことでも注目を集めた。ジャンピエール氏は黒人としても、同性愛者を公言していることでも初の報道官だ。性別や人種を問わないシンボル的な存在でもある。
世界各国で女性が主要ポストに就く動きは相次ぐ。フランスでは5月、30年ぶりに2人目となる女性の新首相ボルヌ氏が就任した。6月に政権交代したオーストラリアのアルバニージー政権では女性閣僚が過去最高となる23人中10人を占めた。

世界経済フォーラム(WEF)が7月に公表した2022年の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・リポート」によると、閣僚職における女性の割合は世界平均で2006年の9.9%から22年の16.1%へと増加した。
女性の政界進出に詳しい上智大学の三浦まり教授は、欧米では政党が「女性をはじめ、多様性を意識した戦略を掲げてきた」と指摘する。女性の社会進出が進むに伴って「女性の活躍推進に積極的な政党の候補に票が集まるようになった」という。有権者の注目が集まる閣僚級への女性登用にもつながった。

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