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PowerPointの資料作成に苦労していませんか? 伝えたいことが一目で伝わる資料を作るにはどうすればいいのでしょうか。シリーズ「いまいちパワポ改造計画」ではTwitterで7万人以上のフォロワーを集めている『パワポ芸人』ことトヨマネさんの監修のもと、架空のIT系会社員「今市くん」と「池照さん」の対話形式で資料作成のコツをお伝えします。

第1回 パワポでカラフルすぎはNG 「伝わる」資料に2つの鍵
第2回 (今回)
第3回 パワーポイントは第一印象! 差をつける2つのポイント
<登場人物>

今市(いまいち)くん
某IT企業で働く社会人3年目。やる気と元気には自信があるが、資料作成には苦手意識がある。


池照(いけてる)さん
今市くんと同じ部署の先輩。わかりやすい資料に定評があり、部署内でも一目置かれている。

月曜日の昼下がり。今市くんがぶつぶつひとりごとを言いながらキーボードをたたいています。きょうも資料作成で何か困りごとがあるようです。

今市 うーん……これは……もっとこうした方がいいかな……いや、逆にこうするのはどうか……。
池照 ちょっと今市くん、どうしたの? さっきからずっとひとりごとを言ってて、ちょっと怖いよ(笑)。
今市 あ、池照さん! 実は、きょうもちょっと資料作成に困ってるんです。飲食店の事業者さんにキャッシュレス化を勧めるための提案資料なんですけど、文字を打っただけみたいな感じになっちゃって……例えば、このスライドを見てください。

池照 ふーん、なるほどね。3項目で整理されていて、内容としてはわかりやすいんじゃない?
今市 本当ですか!? 池照さんに褒めてもらえるなんてうれしいです!

図形やレイアウトより文字デザイン

池照 でも、見せ方はもうちょっと工夫できそうだね。ちょっと貸してくれる?

池照 ほら、例えばこういう感じにするとグッと見やすくなるでしょ。
今市 本当ですね! 内容は同じなのに、すごく見やすくなりました。「ちゃんとしてる感」もありますね。さっきの資料より、お客さんも納得してくれそうな気がします。
池照 そうでしょ? 私たちが資料の見栄えを考える時って、ついつい図形とかレイアウトに気持ちが向きがちなんだけど、実は最初に改善すべきなのって「文字のデザイン」なんだよね。
今市 は〜なるほど! 盲点でした。確かに、資料って何だかんだ言って結構文字が多いですもんね。
池照 そうそう。そして、今回の修正のポイントはこの2つ。

池照 まずはフォントね。今市くん、今回はどうしてこのフォントを使った?
今市 そうですね……今回はお客さんにバーンと強い印象を与えたかったので、ぶっとくてハッキリしているフォントを選びました!
池照 なるほどね。これは「HGS創英角ゴシックUB」というフォントで、太くて読みやすいので悪くはない。資料作成に使うフォントは、シンプルで可読性の高いゴシック体を使うのが基本だからね。
今市 ほんとですか! よかった!

パワポにぴったりなフォントはこれ!

池照 でも、私はあまりお薦めしないかな。私が資料作成にお薦めしているフォントは「Meiryo UI」か「游ゴシック」の2つ。

今市 えっ……珍しくOKをもらったと思ったのに。なんでこのHGS創英角ゴシックUBじゃダメなんですか?
池照 一番の理由は「太字にできない」ということ。今市くん、このフォントを太字にするとどうなる?
今市 太字にできない……? いやいや、できますよ。ちょっとやってみますね。

今市 できました! もともとぶっといのに、輪をかけてぶっとくなってイイ感じです。
池照 確かにちょっと太くなったね。でも、あんまりはっきり太くなった感じがしないし、なんだかちょっとつぶれて読みづらくない?
今市 うーん、そう言われてみれば確かに……
池照 実は、フォントには「もともと細いフォントと太いフォントが用意されているもの」と「一種類しかないもの」の2種類があるの。Meiryo UIと游ゴシックは前者。太字にすると、パワポが太いフォントに入れ替えてくれるからキレイに太くなる。一方で、HGS創英角ゴシックUBは後者。太字にしようとしても入れ替えるフォントがないから、パワポが文字の周りに線を描いて無理やり太らせるんだけど、デザインされているわけじゃないからあまり太くならないし、読みづらくなるの。

今市 そんな違いがあったなんて、知らなかったです! でも、どうして太字にできることが重要なんですか?

メリハリで読み手の頭に入りやすく

池照 その理由は、2つ目のポイント「メリハリ」に大きく関係してくる。今市くん、最近新聞読んでる?
今市 日経電子版は毎日チェックしてます!
池照 電子版か……ここで思い浮かべてほしいのは紙の新聞。新聞って、見出しと小見出し、本文とでサイズや文字の太さが違うでしょ?

今市 言われてみると確かにそうですね。でも、それが資料とどう関係するんですか?
池照 関係大アリよ。新聞を読む時って、見出しをざっと読んでから、気になる記事だけ本文をじっくり読むでしょ?「大枠を捉えてから、次に詳細を読む」っていう流れね。これ、資料でも同じなの。
今市 な、なるほど……。確かに僕の資料にもタイトルとその説明、そして結論の3種類の文字が入ってますね。先にタイトルと結論をざっくり押さえてから細かいところを読むと、内容が理解しやすくなるってことか。

池照 そういうこと! 単調にダラダラ続く文よりも、重要な部分が強調された文の方がずっと読み手の頭に入りやすい。だから、太字や文字のサイズ、場合によっては色をうまく使って、メリハリをつけることが大事なのね。
今市 それを聞いてから池照さんに修正してもらった資料を改めて見ると、たしかにメリハリが利いてますね! 資料の文字にはメリハリが大事ってことか。
池照 今市くんもだんだんわかってきたね。ちなみに、游ゴシックを使うとちょっとスタイリッシュな印象になるから、好きな方を使ってみて。

池照 さて、メリハリが大事なのは仕事も一緒。ダラダラ続けるより、ちょっと外でコーヒーでも飲んでリフレッシュしてきたら?
今市 そうします!!

第1回 パワポでカラフルすぎはNG 「伝わる」資料に2つの鍵
第2回 (今回)
第3回 パワーポイントは第一印象! 差をつける2つのポイント
トヨマネ(豊間根青地)
1994年東京都生まれ。東京大学工学部卒。サントリーで通販事業のCRM・広告などを担当する傍ら、趣味のPowerPointで作成したスライドがTwitter(@toyomane)で反響を呼ぶ。「くだらないけど、ためになる」をモットーに、スライド作成に役立つノウハウや、あまり役立たないネタ画像等を発信。 近著「秒で伝わるパワポ術 仕事でもSNSでも〈いいね〉がもらえるスライド作成のコツ」

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