桐朋学園でガキ大将、身につけたサッカー型組織運営法新居佳英・アトラエCEO(上)

新居佳英・アトラエCEO

コロナ禍でリモートワークが広がる中で、「エンゲージメント」(チームへの貢献意欲や働きがい)の解析ツール「Wevox(ウィボックス)」を展開するアトラエが好調だ。同社の創業者で最高経営責任者(CEO)の新居佳英氏(47)は小学校から高校までを桐朋学園(東京・国立/調布)で過ごした。同学園の主体性を育てる教育環境と、シングルマザーの母と弟との生活の中で養われた自立心が、同社の組織運営の核にもなっている。

桐朋小学校(東京・調布)に入学した。本物に触れることや子どもの主体性を育てることを重視する学校だった。

私が幼い頃に両親が離婚し、シングルマザーの家庭だったので、経済的に余裕があったわけではないのですが、母には「子供は良い環境で育てたい」という強い思いがあったようです。彼女の思う「良い環境」に合致するのが桐朋だったらしく、私も2歳下の弟も桐朋小を第1志望で受験し、合格しました。

桐朋学園には調布市仙川にある桐朋小学校と東京・国立市に桐朋学園小学校という二つの小学校があります。私たち兄弟が通ったのは桐朋小で、世田谷の実家からバスで50分くらいでした。小学校は男女共学でしたが、その後進んだ国立市の桐朋中高は男子校です。

桐朋学園はいわゆる進学校ですが、詰め込み教育とは無縁のとてものびのびと自由闊達な校風でした。学校が借りている畑でキュウリやトマトを育てる農作業の時間があったり、今はどうかわかりませんが、私がいた頃は運動会で男女全員、騎馬戦や棒倒しなど体全体を使って競い合う競技に本気で取り組んだりしていました。

私はといえば、とにかく運動が得意なガキ大将タイプ。小学1年から5年までは100メートル走の記録保持者でしたし、2年生からはサッカー団に入って運動場を駆けずり回っていました。桐朋小ではクラブ活動ではなく「団活動」と呼んでいました。勉強もどちらかといえば得意でしたね。特に好きだったのは算数で、逆に嫌いだったのは国語。答えがスッキリ一つに決まっている算数と違って、採点する先生次第で丸になったり三角になったりするのが嫌だったのです。

桐朋中高は、小学校入学組と中学や高校からの入学組が混在していて、とても多様性がありました。IQ(知能指数)とEQ(感情指数。「心の知能指数」とも呼ばれる)を兼ね備えていて、人間力、サバイバル能力が高い生徒が多かった。もちろん全員が成績優秀ではないにせよ、自分の頭で考える能力はおしなべて高いので、社会に出て活躍している人が多いように思います。

桐朋高校出身者は定期的に集まって「桐(きり)の会」を開いています。そこに来ている小椋一宏君は同級生。彼はクラウドセキュリティーサービスを展開するHENNGE(へんげ)の社長で、同社は2019年に東証マザーズに上場しています。同じ高校出身の経営者が頑張っている話を聞くのは良い刺激をもらえますし、いろいろと勇気づけられますね。           

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