2年目以降も高給とは限らない
そんな中、また新しいニュースが飛び込んできました。「サイバーエージェントが2023年春の新卒入社の初任給を42万円に引き上げる」――。日本経済新聞が2022年7月25日にこのような内容の記事を掲載しました。
記事によれば、2022年春入社と比べて2割以上の増額になる職種もあるそうです。普通に働いていて、1年で給与が2割も上がることはあまりないでしょう。同社はこれまでも、やりがいや自己実現に加え、柔軟な働き方を可能にするなど人材獲得強化のための取り組みをしていました。さらに大幅な給与アップまで実施するとは、同社の攻めの姿勢には本当に学ぶところが多いと筆者は感じています。
ただし、前出の記事をよく読むと注意点もあります。2年目以降の年収は、評価次第で初任給を下回る可能性があるそうです。つまり入社後もずっと高給が保証されているわけではありません。
また同社は、一定の残業時間を含んだ年俸制を採用しているといいます。残業が長時間に及んだ場合、時間当たりの賃金は低くなるのではないかと皮肉る声も耳にします。
しかし筆者は、そうならないように仕事を組み立てて成果を出す方法を考えるのがこれからのビジネスパーソンに求められる働き方だと思います。2年目以降も就労時間は増やさずに、高い評価を得られる仕事をするにはどうしたらよいか。自ら工夫して実践するのです。
もちろん就業時間がきっちり決められており、給与が勤務時間に応じて変動する職場も多いでしょう。しかしITなどそうでない業種においては、1日8時間、9時間といった労働時間を前提にすること自体が古くなるかもしれません。サイバーエージェントの施策を見ていると、働き方や給与の考え方が着実に変わりつつあることを実感します。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
[日経 xTECH 2022年7月28日付の記事を再構成]