自由回答では「会社パンフレットの『活躍する社員』がほとんど男性だった」(22歳、長崎県)、「『女性は細かいことが器用』という理由で営業ではなく内勤に配属すると説明された」(22歳、東京都)などの声があがった。

大阪教育大の安達智子教授は、2割が自ら選考を辞退したとの結果について「女性活躍が国を挙げた成長戦略にもなっている今、看過できない」と指摘する。採用枠や制度などのハード面では女性活躍の素地が整っても「企業側の意識や態度、とくにアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)のような、社員自身でさえ気づいていないソフト面での受け入れ体制が整っていない会社が少なくないのでは」と推測する。

4人に1人が、就活中「ジェンダーバイアス感じた」

実際、就職活動中に「ジェンダーバイアス(性差に対する偏見)を感じたことがあるか」との質問にも、23.7%とおよそ4人に1人が「はい」と回答した。「どちらともいえない」は18.9%、「いいえ」は57.4%だった。

「はい」と答えた239人にジェンダーバイアスを感じた点を項目別に聞くと「採用や配属、昇進に男女差がある」と感じた人が86.6%と最多だった。企業側の「出産後の子育ては女性がするものとの意識」(75.7%)、「出産や結婚で女性は仕事を辞めるものとの意識」(63.6%)を感じた人も多かった。

自由回答からは就活中に直面した戸惑いがあらわになった。「説明会で個別質問したら『女の子はおしゃべりが長い』と遮られた」(23歳、広島県)、「女性は原則実家から通勤するように言われた」(22歳、山梨県)。また「女性はキャリアか家庭を選ぶように言われた」(23歳、福岡県)、「海外赴任を希望したら役員から『子どもがいたら無理でしょう』と言われた」(22歳、神奈川県)など、仕事への意欲をそぐような言動があったとの声もあがった。

「労働者の募集及び採用に係る性別を理由とする差別」を禁止する男女雇用機会均等法に抵触しかねない事例も目立った。厚生労働省は違法な例として「会社説明会の実施日を男女別に設ける」「女性にだけ結婚予定の有無を尋ねる」などをあげ、従わなければ企業名の公表もありうる。

だが実際には「結婚はいつするか、いつまで続けるのかなど男性にはない質問をされた」(22歳、山口県)、「誰でもエントリー可なのに、体力仕事だから女性は少ないと言われた」(22歳、北海道)との経験をした学生もいた。

残業・休日出勤の実態など重要視

女性活躍推進法は、女性労働者の働きやすさなどに関する情報公表を義務付け、22年4月1日からは対象を現在の従業員301人以上の企業から101人以上の企業までに拡大する。厚生労働省は学生が就職活動で判断基準に活用することも期待している。

女子学生らがこうした情報をチェックしている様子も浮かんだ。特に男性も含む社員全体のワークライフバランスに関する公開数値は、9割超の学生が確認していた。

企業研究で「かなり重要視」「まあ重要視」するとした回答の合計は「残業や休日出勤の実態」(93.7%)が最多で「有給休暇の取得率」(92%)が続いた。「子どもの看護休暇など両立支援制度」(84%)、「男女の育休取得率」(82.6%)も多かった。

23年春の就職に向けて就活中の早稲田大学の女子学生(23)は「男子の採用割合が多い企業が大半で、女子には狭き門ばかり。不採用が続いて女子が自信をなくす構造になっている」と嘆く。「入社後に女性として大変さがあるのは覚悟している。せめて採用の入り口ぐらいは男女平等であって」と訴える。

理想の働き方も多様化
日本経済新聞社が実施した女子学生への調査では多様なキャリア意識も浮かんだ。新卒入社の会社で定年まで働き続けるとの回答は11.5%にとどまり、10年以内の退職見込みが68.9%に上った。退職理由は、転職や学び直し、起業など自身の意志に基づくキャリアシフトが48.7%。結婚(20.3%)や出産・育児(22.7%)も一定数いた。

大阪教育大の安達智子教授は、理想の働き方が多様化しているとみる。「女性の人材確保や就労意欲を高めるには、企業が採用時から画一的なロールモデルでなく柔軟なキャリアパスを示す必要がある」と指摘する。
(松浦奈美、砂山絵理子)

[日本経済新聞朝刊2022年3月28日付]