純アルコール8gを超える飲酒者は灰白質などが縮んでいた

MRI画像に見られる脳の灰白質全体の体積と白質全体の体積は、飲酒量が増えるほど小さくなっていました。結果に影響する可能性のある要因(年齢、身長、性別、喫煙歴、社会経済的地位、遺伝的な背景など)を考慮した分析を行ったところ、1日に1単位(純アルコール8g)を超えて飲酒する全ての人において、それらの体積は有意に減少していました。男性、女性を分けて分析しても、同様の結果になりました。飲酒なし、または1日1単位以下の場合は、有意な変化は見られませんでした。

灰白質については、全灰白質のほぼ90%の領域の体積に飲酒は悪影響を及ぼすことが示唆されました。部位別に体積の減少と日常的な飲酒の関係を検討したところ、前頭葉、頭頂葉、島皮質、側頭部、帯状回、被殻、扁桃体、脳幹で、それらの関係は強力でした。

続いて、白質の微細構造と飲酒の関係について検討したところ、飲酒量が増えるにつれて、白質の微細構造が不健康な状態になっていました。具体的には、神経線維が集まって走行しているいくつかの部位に、飲酒による統合性の低下[注3]が見られました。

今回の研究結果は、英国人においては、性別に関わりなく、1日に1単位を超える飲酒の継続は脳のマクロ構造(脳全体または各部の体積)と微細構造(白質統合性)に好ましくない変化をもたらす恐れがあること、飲酒量が増えればその関係は強力になることを示唆しました。

[注3]MRI画像に基づく分析において、神経線維が一方向に整然と走行し、適切に髄鞘化されている状態を「白質統合性が高い」と見なす。

[日経Gooday2022年4月20日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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