「ネクスト・ノーマル」経営 マッキンゼーが指針提示三省堂書店有楽町店

1階のビジネス書コーナーではクイズ形式の手書き店頭販促(POP)を付けて展示する(三省堂書店有楽町店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に1度訪れている準定点観測書店の三省堂書店有楽町店だ。緊急事態宣言が解除されてほぼひと月、駅前立地で新刊への反応が早いこの書店だが、ビジネス書の売り上げ上位には息の長い売れ筋や定番書が目につく。本格的な回復にはまだ時間がかかりそうだ。そんな中、新刊で売り上げ上位に食い込んできたのは、有力コンサルティングファームがこれから10年の経営テーマを詳述し、ビジネスリーダーへの指針を示した一冊だった。

コロナが「分断」と「革新」の触媒に

その本は小松原正浩・住川武人・山科拓也編著『マッキンゼー ネクスト・ノーマル アフターコロナの勝者の条件』(東洋経済新報社)。編著者の3人は大手コンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニアパートナーとパートナー。グループの研究機関の調査研究をもとに「ネクスト・ノーマル(新型コロナ後の新常態)」を詳細に分析、そこへの移行期と到来期に経営者やビジネスに携わる人は何を考え、どんな行動をとるべきか、その指針を示したのが本書だ。

イントロダクションで、コロナ後の世界とはどんなものか、大まかな見取り図が示される。キーワードは「分断」と「革新」だ。「新型コロナはビジネスに『分断』と『革新』をもたたす触媒の役割を果たした」という。分断では業種ごとの分断より企業ごとの分断に注目する。「新型コロナによって業界全体が落ち込んでいても、工夫と対応次第で大きく業績を上げた企業が存在する」という事態だ。

一方,革新については米国で2020年に入って起業件数が倍増したという事実に着目する。ベンチャー投資も増えている。編著者たちはここに革新の契機を見る。新型コロナ対策を通じて起こった行動変容が多くのビジネスチャンスを生み、様々な革新をもたらしたというのだ。

Z世代からサプライチェーンまで

こうした時代認識を前提に10のテーマを提示する。ビジネスの外部環境の変化として取り上げられるのは、消費者の行動変容、Z世代、移動の変化の3つだ。技術革新という側面からはデジタル化とサプライチェーン改革を論じる。組織経営という観点では、ダイバーシティーと健康マネジメント、働き方の変化を取り上げる。企業と社会のかかわりからは、気候変動問題、さらには企業が果たす役割をテーマに考える。

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