
学校とはどんな場なのでしょうか。コロナ禍の中で、学校とは生徒がワクワク、ドキドキする場なのだと改めて痛感しました。オンラインも活用できますから、授業自体の影響はそれほどありません。しかし、生徒の元気がだんだんなくなるのがわかります。昨年は運動会や文化祭、校外学習などのリアルな行事が、縮小や中止、あるいは延期やオンラインへの変更に追い込まれたからです。
感染対策徹底して、文化祭など各種行事を再開
そこで今年はできる限り、コロナ対策を徹底して各種行事に実施するようにしています。9月には渋渋、渋幕では保護者を呼ぶことはできませんでしたが、文化祭を開催。10月には両校の高校2年生が九州、広島に修学旅行に出かけました。もともと「日本文化の源をたどる」をテーマにして中国に行っていましたが、今、海外は難しいので、中国から最初に文化の伝わった九州を選択したわけです。
ただ、この修学旅行ではちょっと残念な出来事がありました。羽田空港から飛行機に乗り込む際、一般の乗客の方が修学旅行の生徒を見て、係員の方に「修学旅行なんて不要不急だろう」とクレームを言ってこられたようです。
渋渋、渋幕両校では修学旅行といった校外学習など行事の開始を控え、8~9月に希望する生徒、教職員全員にワクチン接種を実施、さらに旅行の1週間前からの検温、そして直前にも生徒、関係者の希望者全員にPCR検査を行い、結果は全員陰性、無事に出発することができました。
コロナ禍において、一般の乗客の方が懸念されるのはもっともだと思います。ただ、少し疑問を感じたのは「不要不急」についてです。確かに大人の団体旅行なら、いつでもいいかもしれません。しかし高校生の場合、3年生になると受験があるので難しい、人生の中で今しかチャンスはないのです。しかも校外学習のような行事は非常に大事で、効果的な学習法なのです。
灘高の強さの秘密 生徒同士で教え合う
米国の研究機関がまとめた学習内容が頭に入る学習定着率のデータがあります。それによると、最も低いのは「講義」で5%。定着率が高いのは「自ら体験」が75%、最も定着率が高いのは「他の人に教える」の90%です。これは生徒同士で教え合うというやり方です。この学習法を実行するには、行事が有効に働きます。