
ワイナリーも国内に次々誕生
ナチュラルワインはほとんどが輸入ワインだが、ナチュラルワインに特化した国内のワイナリーも次々と誕生している。2年前にファーストヴィンテージを発売した高松市のカマノヴィンヤードもその1つ。ブドウは有機栽培で、醸造は天然酵母使用、亜硫酸無添加、無ろ過。日本固有品種のマスカット・ベーリーAやデラウェアなどを混ぜて造った「クサワミ2021 カカシクラレ」は、ジューシーでほどよい揮発酸の香りのする、ナチュラルワインらしい1本だ。
ナチュール・ネーティブは、実は日本だけの現象ではない。英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は「この10年の間に、パリのバーやレストランではナチュラルワインが準主流となり、新しい世代の飲み手の興味を引いている」と書いている。米紙ニューヨーク・タイムズは、環境問題や健康問題への意識の高いミレニアム世代を中心とする若い世代の間でナチュラルワインの人気が高いと指摘し、ナチュラルワインがワイン市場の縮小傾向に歯止めをかける鍵となる可能性を示唆した。
米国同様、日本国内のワイン消費量も、飲み手の高齢化や若年人口の減少などを背景に2010年代半ばから完全に頭打ちになっている。ナチュール・ネーティブの台頭やナチュラルワインの人気の高まりが、ワイン市場に再び活気を呼び戻し、けん引役となるのか注目だ。
(ライター 猪瀬聖)
※「エンジョイ・ワイン」は今回で終了します