ロゼ・シャンパンとタレの焼き鳥とのマリアージュ

ジョゼ・ミシェル「ブリュット・ロゼ」(6160円)。赤いバラの花びらを思わせる色合い

先に、「ロゼ・シャンパンの造り方は大きく2通り」と紹介したが、RMの中には両方の方式をとる生産者もいる。この2、3年大きく注目されているというラエルト・フレールは、シャンパーニュ地方で用いられる主要なブドウ3品種のひとつ、ムニエ種100パーセントのロゼ「エクストラ・ブリュット ロゼ・ド・ムニエ」を造る生産者。このシャンパン造りには赤ワインのブレンドと醸し法両方の手法を用いている。

合田さんはラエルトのロゼ造りの考え方を紹介してくれた。「同じブドウの品種を異なる方法で醸造することで、非常に異なったフレーバーや感覚が生まれてくる。それをブレンドすることで、その年々のバランスを得ることができる。ロゼ・シャンパンは造り手の腕のみせどころで、すごくエキサイティングな仕事です」

ラエルトの現在の当主は7代目となるオーレリアン・ラエルト。39歳の若手で、「ロゼ・ド・ムニエ」の瓶のラベルには、彼の妻の描いた柔らかなイラストがあしらわれている。クラシックなラベルが多いシャンパンでは珍しく、ワインを飲む前から心が浮き立つ。

造るのに手がかかるロゼ・シャンパンは、白シャンパンに比べ価格が高い。その中で、「(RMの中では)生産量が多く価格が手ごろ」と合田さんが教えてくれたのが、RMのジョゼ・ミシェル・エ・フィスのロゼだ。同社はムニエとピノ・ノワールを用いた「ブリュット・ロゼ」を造る。先代のジョゼ・ミシェルはムニエの名手と言われた造り手で、現在は孫のアントナンがワイン造りを受け継ぐ。

「手ごろ」でありながら、同社のシャンパンも2つの手法を駆使し、驚くほど手が込む。セニエ法で色や香りを引き出したピノ・ノワールとムニエを用いたシャンパンだが、「年によって割合が変わりますが、21年のロゼには赤ワインが8パーセント、ブレンドされています。それも、樽(たる)で3年熟成した18年ものと、樽熟成数カ月の21年ものをそれぞれ50パーセントずつ用いているんです」(合田さん)。

ちなみに昔はブドウが熟さないと言われていたシャンパーニュ地方だが、温暖化の影響で、かつてよりブドウの味わいが深くなっているという。「ジョゼ・ミシェルによれば、味わいがあり、ニュアンスがまろやかなものができるようになってきたそうです」と合田さん。同地方で造られるスティルワインはコトー・シャンプノワと呼ばれるが、「ここ数年で赤ワインを造る生産者が多くなっています」と合田さんは明かす。

シャンパン全体の生産量のうちロゼの生産量はわずか。ルイ・ロデレールでは、全体のわずか5~6パーセントがロゼだという。気候変動により、もしかしたらその構図も少し変わるかもしれない。

ロゼ・シャンパンに合わせてみたいタレの焼き鳥。「中華もロゼに合います」と笹本さん=PIXTA

さて、赤ワインの骨格を感じるロゼ・シャンパンは、肉やデザートと合わせやすいと先に紹介したが、カモなどの豪華料理とのすばらしい相性の話を聞く中、「これはやってみたい」と思ったのは、タレの焼き鳥とのマリアージュ。「ロゼにもよりますが、甘辛い味の濃い料理はうまくマッチしますよ」と笹本さん。タレがからんだ焼き鳥片手に、晴れやかなロゼ・シャンパンを心置きなく飲む。これぞ、極上のコロナ明け祝いになりそうだ。

注:価格は2022年9月3日現在

(ライター メレンダ千春)

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